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フランス人が「テレワークは週2日まで」と言う理由

「日数と生産性」の興味深い関係性
村田 弘美 プロフィール

これは、2013年に調印された「労働生活の質(QWL:Quality of Working Life)と職業上の平等の向上」に関する業界間全国労使合意に基づくもの。「労働の質」と「仕事における充足感」を通じて初めて「企業のパフォーマンスの向上」が実現されるという考え方に立っている。

従業員一人ひとりが人間として尊重される「権利」という概念は、具体的にはオフィス内の就労人数の制限、テレワークをしている従業員がインターネット接続を切る権利の保障、ストレスを検知するための観測システムの設置といった措置の導入で具現化されている。

すでにラ・ポスト(郵便)、アレバ(原子力)、タレス(防衛)などの大企業が模範を示して、QWL合意を締結している。仕事への責任感から対応すべきか賛否両論あるものの、これに賛同する企業も多いのがフランスらしいともいえる。

〔photo〕gettyimages

「週2日」のテレワークが効果的な理由

そんなフランスのテレワークの取材を通じて疑問に感じたのは、なぜ「週2日」のテレワーク導入が多いのか、ということである。

実際に、毎日テレワークを許可している企業はほとんどなく、大半は「週2回」、もしくは「週1回」であるという。これは、取得日数が多くなると、人間関係の構築や組織から孤立しやすくなるというが、「週2日」とする根拠についてアプローチしてみたい。

 

はじめに、テレワークの日数に関してフランスにおける一つのベンチマークと判断されるのが、仏首相府付きの戦略分析センター(CAS : Centre d'analyse stratégique )が作成した「明日のデジタル社会におけるテレワークの発展」と題する2009年の報告書である。

同報告書は、欧州諸国における分析も加味してテレワークの諸側面を分析し、テレワークの日数に関して以下のように結論している。

フランス及びその他の国々において今後、広範な普及が期待できるテレワークのパターンは週1~2日のパターンである。週5日の全日をテレワーク化した場合には社員の孤立という問題が発生し、テレワークによって生じるはずの生産性向上が逆に失われる。テレワークによる生産性向上のピークは、テレワークが週1~2日である場合に確認される。他方、テレワークの普及が企業の不動産コスト、自治体の公共交通輸送組織コストにもたらす効果については、テレワークを利用する社員の比率が全体の20-30%を越えた段階で効果が顕著になる。

CASの2009年報告書の執筆者の一人であるJérôme Fehrenbach氏によれば 、テレワークの日数と仕事上の効率の相関性においてはいくつか分岐点が観察されるという。

1  テレワークが「週1日未満」の場合、テレワーク態勢を整えるための手間が増えるだけで、テレワークのメリット(ストレス減、ライフワークバランス、意欲向上)を引き出すに至らない。

2. 「週1日」「週2日」の場合、効率が上がって生産性が向上する。

3. 「週2.5日以上」の場合、社員は企業との接触感を失い(孤立化)、生産性はピーク時より落ちる。