# テレワーク # 働き方改革

フランス人が「テレワークは週2日まで」と言う理由

「日数と生産性」の興味深い関係性
村田 弘美 プロフィール

インフルエンザの蔓延、大気汚染問題が大きく影響

金融危機の翌年、2009年にはインフルエンザが蔓延して、緊急時の危機対策の1つとして、期間限定でテレワーク制度を許可したことが本格的な導入への第一歩となった、という企業も多い。

さらに、2012年には、テレワークに関する事項が労働法典に加えられ、デジタル技術を活用した新しい仕事のあり方に対応できる法的枠組みの整備が動き出した。

2016年には大気汚染問題が発生し、外出を必要最低限に留める必要性が発生。政府がその対策として、車のナンバープレートの末尾の数字が奇数、偶数の車を交互に走行禁止とするという交通規制を敷いたため、自動車通勤の従業員に影響が生じ、企業はテレワークを認めざるを得なくなったという背景もある。

こうした偶発的な出来事もテレワーク浸透に大きく影響したが、さらに拍車をかけたのは、マクロン政権によるテレワーク推進策である。テレワークがもたらす経済効果によって年98億ユーロの経費削減が可能で、これはフランスのGDPの0.5%に当たる金額に相当するという(2014年 Opinium)。

〔photo〕gettyimages

テレワークは労働者の「権利」であると法制化

2018年1月に施行された労働法典改正では、「テレワークで働く」ことを従業員の「権利」として位置付けた。

制度改正は労使協議により検討され、従来のように、従業員がテレワーク制度の利用を申請し、使用者が承諾するかを決めるのではなく、使用者側がテレワークを拒否する場合は、その理由を示して拒否を正当化することを義務付けるなど、基本的な考え方が変更された。

また、雇用契約書にテレワークに関する規定を設ける必要はなくなり、労働時間や労働負荷の調整などは、企業単位での労使協約によって規定することが可能となるなど、大幅な譲歩が見られた。

 

それ以外にも、フランスでのユニークな事例は国外からも大きな注目が集まっている。その1つが2017年1月に施行された通称「つながらない権利(The right to disconnect)」である。

文字通り、労働者が勤務時間外や、休日に上司や同僚、取引先との仕事上のメール対応を拒否できるという権利である。