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「丸亀製麺」のスタッフはなぜ「おっちゃん・おばちゃん」が多いのか

この接客が急成長の秘密
小野 正誉 プロフィール

マニュアルより大事なもの

結局のところ、マニュアルで細かく定めすぎると、「覚えたとおりにすればいい」という意識になってしまいます。

丁寧に接客をしているけれども、マニュアルに従ってやっているのだろうな、と感じるお店があるでしょう。「いらっしゃいませ」と言ってから、45度頭を下げる。数分しか待たせていないのに、「大変お待たせいたしました」と頭を下げる。

丁寧な対応のほうがお客様も好感を持つのは間違いありませんが、心がこもっていないと感動は生まれないのではないでしょうか。

丸亀製麺としては、マニュアルでガチガチに縛るより、目の前のお客様を見て臨機応変に対応してほしい、と考えています。

たとえば、車椅子でお越しになられたお客様には、率先してドアを開ける。お客様の代わりにお盆を持って席まで運ぶ。それはマニュアルというよりヒューマニズムの話なので、「決められているからする」ということではありません。

お客様がお盆に汁をこぼしてしまったら、この状態のまま食事を続けるのは不快だろうなと感じ、「お盆を取り換えましょうか?」とすかさずと声をかける。そういう小さな気配りが、心に響くと思うのです。

「大好きな彼女に喜んでもらう」という視点で物事を考えよ、という教えを本で読んだことがあります。丸亀製麺で目指しているのはまさにそういうことだな、と感じました。

 

大事な人が自分の店の予約を取ってくれたときに、どこの席に案内するか、どんなサービスをするか。大事な人にどのように喜んでもらうかを考えると、それはすべてのお客様が喜んでくれることになるのです。

世界を旅してみると、日本人は公共の場でのマナーや礼儀がきちんとしていますし、サービス精神はピカ一だと感じます。生まれつき、おもてなしのDNAが根付いているのかもしれません。

したがって、マニュアルでガチガチに縛らなくても、現場は自分たちの判断で接客するでしょう。現場の人を信用していればマニュアルで細かく管理する必要もないのです。

個人の判断に任せると店ごとの統一が取れなくなりますし、よく気のつく人もいれば、そうでない人もいるので、個人の力量の差も出てしまいます。現場でスタッフを指導する立場としては、細かくマニュアルで定めたほうが、サービスを一定レベルで提供できるので楽でしょう。教えるのも短時間で済みます。

しかし、それだとスタッフはいつまで経っても自分の頭で考えて行動できるようにはなりません。人は創意工夫することに喜びを感じるので、モチベーションややりがいも感じないでしょう。自分で考えないと「マニュアルに書いてないことはしない」という状況にもなるので、結果的に店や会社の質を落としてしまうのです。

ガチガチでないマニュアルで人を育てるのは時間がかかります。それでも、自由度が高いと人の伸び代は広がると思います。