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「丸亀製麺」のスタッフはなぜ「おっちゃん・おばちゃん」が多いのか

この接客が急成長の秘密
小野 正誉 プロフィール

中高年スタッフが輝ける職場

また、中高年の方のほうが、仕事に誇りを持つ傾向が高いように感じています。

中高年のパートナーさんは、それまでにさまざまな人生経験をされています。そういう方はビジネスマナーを一から教える必要はなく、自分が求められている役割を瞬時に理解するので、とても頼りになる存在なのです。

私自身も、店に配属されたときに熟練のパートナーさんに調理を指導していただきました。おばさんに天ぷらの揚げ方やおむすびの握り方を教えてもらい、おじさんには製麺のやり方を教えてもらったのです。

「見てみ、この麺。光ってるやろ」と誇らしげに言うおじさんは、まさに職人。

「私が握るおむすびだからおいしいの」「俺が作るうどんやから、特別にうまいんや」といった言葉を聞くたびに、この仕事を愛し誇りをもっているのだな、と感じました。

とくにコミュニケーション力が非常に高いおばさんたちは、お客様に「天ぷら、揚げたて取っていってよ!」とどんどん声をかけています。

常連のお客様が体調を崩してかけうどんしか頼まないことに気づき、「どうしたの?」と心配するパートナーさんもいます。そのパートナーさんはお客様が他のメニューを食べられるようになったことにもいち早く気づき、「元気になったの? よかったね」と声をかけていました。

 

若い人が、見ず知らずの相手とそこまでのコミュニケーションを取るのはとても難しいでしょう。お客様も相手がおばさんだから、「ちょっと胃の調子が悪くて」と、ざっくばらんに話せるのではないでしょうか。

効率化を考えるのなら、券売機で券を買うシステムを導入するほうが、コスト的にも時間的にも断然メリットがあります。それでも、丸亀製麺では人がレジを打つというスタイルを変えるつもりはありません。目の前のお客様の様子から体調を気遣うようなことはAIにはできないでしょう。

人とのちょっとしたやりとりからあたたかみは生まれるものなのです。何もかも自動化、機械化されている現代だからこそ、パートナーさんとの何気ないやりとりがお客様の心に響くのではないでしょうか。

多くのチェーン店同様、丸亀製麺にもマニュアルはあります。

とはいえ、他のチェーン店の方が見たら、おそらく「この程度でいいの?」と拍子抜けするぐらい、基本的なマニュアルしかありません。身だしなみや挨拶の仕方などが載っていますが、ごく当たり前のことしか定めていません。

研修の際に接客の仕方なども指導されますが、キッチンでの作業が多くて覚えることが多いので、マニュアルを叩きこむという感じではないのです。