# 遺言 # 相続税

余命三ヵ月の妻が夫に残した「ラブレター=遺言書」、その中身とは?

「争続」を回避した妻の最後の贈り物
曽根 恵子 プロフィール

両親の相続時からあった、姉妹の「争続」の芽

じつはKさんとはもともと、Kさんのご両親に公正証書遺言を作ってもらいたいと私のところへ相談に来られたのが知り合ったきっかけです。最初にお会いしたのはもう10年以上も前のことです。

というのもKさんには姉がいますが、両親と姉は波長が合いません。姉は結婚して家を離れてしまい、両親と顔を合わすたびに将来の相続時の権利主張をするばかり。

両親の面倒を看るつもりはないとも明言してがっかりさせたばかりか、自宅は長女なので自分がもらいたいと主張するなど、自分中心なため、姉には財産は渡したくないというのが両親の本音でした。

一方、次女のKさんは結婚したものの実家のすぐ近くに住み、普段から親のために尽くしてきました。両親が高齢になり、父親が実家で生活することが大変になったときも、老人ホームを探し、1人暮しになった母親のサポートをし、すべてを引き受けてきました。

両親はそうした状況を踏まえて、勝手なことばかり言う長女ではなく、次女に老後を託し、財産も相続させたいという気持ちで、公正証書遺言を作られました。その際、将来の相続時に長女から文句が出ないようにと、住宅取得資金として長女への現金贈与も済ませました。

〔photo〕iStock

相続される財産は両親の共有名義となっている自宅と預金で、それぞれ基礎控除の範囲内でしたので、相続税はかかりません。先に父親が亡くなり、その後に母親が亡くなりましたが、それぞれ公正証書遺言で相続の手続きができました。

普段のKさんの貢献度は明らかで、姉も文句は言えなかったようで、遺留分請求もありませんでした。

 

まさか、「不仲の姉」が相続人になる可能性が浮上

こうした経緯があったため、今回Kさんが「遺言書を作ろう」と思われた理由はすぐに理解できました。

Kさん夫婦には子どもがいませんので、Kさんがご主人よりも先に亡くなった場合の相続人は、ご主人だけでなく、Kさんの姉にも権利が発生するのです。