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丸よ、巨人に行くなら行くがいい…それでも広島は強いままだから…

それもまた、仕方のないことなのか…

脂の乗り切った生え抜きが出ていってしまうかもしれない。だが、このチームに、右往左往する様子は見られない。人が替わっても強いチームを作るための「論理」が、しっかりと確立されているからだ。

断トツの出塁率

プロ野球のレギュラーシーズンも、各球団あと数試合を残すのみだが、セ・リーグは今季も「広島カープ独走」の一年だった。

4月24日に単独首位に立つと、そのまま他球団をいっさい寄せつけず、一度たりとも2位に転落することなく9月を迎えた。まさに「一人勝ち」の状態でクライマックス・シリーズに臨もうとしている。

カープOBで野球評論家の大野豊氏が言う。

「2年連続でリーグ優勝を経験して、選手たちの成長と自信を感じたシーズンでした。昨季15勝した薮田和樹が不振で長期離脱するなど、投手陣は決して万全とは言えない状態です。それでも、チャンスに強い打線の得点力で見事にカバーできた」

だが、ここまで圧倒的に強いからこそ、先々のことが心配になってくる。カープファンたちが気をもんでいるのは、シーズン中にFA権を取得した不動の3番打者・丸佳浩(29歳)の去就だ。

田中広輔、菊池涼介そして丸の1、2、3番トリオ、いわゆる「タナキクマル」はこれまでも連覇の中心を担ってきたカープ打線の核だが、とりわけ今季の丸の「覚醒」ぶりは凄まじかった。

ここまでの成績は打率・327、本塁打36本、88打点(9月18日現在・以下同)。キャリア初となる3割30本100打点が視野に入っているのもさることながら、何より驚異的なのが、出塁率・488という両リーグでも断トツの数字だ。

 

丸の入団当初に指導していたカープ元二軍監督の山崎隆造氏が言う。

「彼は毎年技術的な進化を続けています。たとえば、入団してきたばかりの頃は引っ張り専門で、アウトコースのボールは当てるだけのバッティングしかできず、落ちる球にもめっぽう弱かった。

それを克服して一軍に定着したと思ったら、今度は反対方向にも打てるようになってきた。

普通、バッターは気持ちの良い打球を打ちたいから、詰まらされることをすごく嫌います。でも、彼の場合は、去年あたりから詰まることを怖がらず、ボールを限界まで身体の近くに呼び込んで反対方向に打球を飛ばせるようになったんです。

さらに、ボールをゆったり『待てる』ことで選球眼も向上しフォアボールが増えて、この出塁率につながっている」

丸の出塁によって相手投手に焦りが生まれ、次の4番・鈴木誠也もヒットを打ちやすくなる。丸の打線への貢献度は傑出しており、2年連続のセ・リーグMVP受賞も、確実視されている状況だ。