「90%の確率で来る巨大地震」で生き残る行動、命を落とす選択

どんな準備をしていたかが生死を分ける
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かわいいペット 避難所には連れていけない
見捨てるしかないのか、せめて首輪は外すか

日本は5~6世帯に1世帯が犬や猫を飼っている「ペット大国」だ。自分や家族の安全が確保できても、ペットというかけがえのない一員の避難は気がかりだ。

人命が最優先とはいえ、愛犬や愛猫を見捨てるのはつらいものがある。では、避難所にペットを連れていっていいのだろうか。

「残念ながら、すべての避難所でペットを受け入れているわけではありません。地元の獣医師会がペットを預かってくれるサービスもありますが、震災直後はさすがに対応できず、早くても1週間くらいは機能するまでに時間がかかるでしょう」(前出・渡辺氏)

環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成し、徐々に同行避難できる場所を増やそうとしている。

だが、数十万人単位の死者が予想される大地震では、やむをえずペットを自宅に置いて避難しなければならないケースも生じてくるだろう。

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人間には生存の可能性が極端に低くなる「72時間の壁」があるが、これはペットも同じで、首輪をつなぎ、エサも水も与えなければ3日と生きられない。

ほんとうにペットのことを思うのであれば、住所と連絡先を書いた「迷子札」を目立つように付けたうえで、避難時に首輪を外してあげるのが正解だ。

ちなみに環境省のガイドラインでは、ペットにマイクロチップを装着し、確実な飼い主の照合を推奨している。

いずれにしても、自分や家族の身に何かあってからでは遅い。防災の教訓に「津波てんでんこ」という言葉がある。「津波がやってきたら、取る物も取り敢えず、肉親にも構わずに、各自てんでんばらばらに一人で逃げろ」という意味がこめられている。

だがこうした教訓があったとしても、人命以外のものを優先し、火が燃え広がるビルに貴重品を取りに戻ったり、地盤が不安定な海沿いの様子を見に行ったりして、命を落とす人は多い。

 

災害心理学者で東京女子大学名誉教授の広瀬弘忠氏は次のように言う。

「人は地震のときパニックになると考える人も多いかもしれませんが、現実は逆です。大きな揺れを感じたとき、人間の心理では『正常性バイアス』が働き、いまの状況が異常だと認識せずに物事を処理する傾向にある。

津波や建物の倒壊の危険性が前々から言われていたとしても、『自分は大丈夫』と思いこみ、逆に逃げ遅れてしまうのです。だからこそ、常に最悪の状況を想定して防災することが大切です」

地震が起きても、自分は冷静に判断できる――。そんな誤認が取り返しのつかない事態を招く。常日頃から、あらゆる事態をシミュレーションして生活を送りたい。

「週刊現代」2018年10月6日号より