「90%の確率で来る巨大地震」で生き残る行動、命を落とす選択

どんな準備をしていたかが生死を分ける
週刊現代 プロフィール

昼「火事だ!」 ビルの中、どうする、どこへ逃げる、安全な場所はどこ?

昼間は仕事や通院、買い物などで家から市街地へ出かけている人が大多数だろう。近年建てられたオフィスビルや商業施設は、概して耐震性の高いところが多いが、だから安全だと思ってはいけない。

「ビル内では重い什器やロッカー、コピー機や棚など、とても動きそうにないものが飛んできたり、蛍光灯のガラスが辺りに降り注ぎます。すぐに建物から出たいと思うかもしれませんが、震度6以上では自由に身動きが取れません。

むしろ、屋外では看板や外壁など、より危険な落下物のリスクが増します。耐震性に問題のないビルであれば、むやみに飛び出そうとせず、落下物の危険が少ない廊下や大きな柱に身を寄せ、頭部を守るといった行動を取るのがいいでしょう」(前出・和田氏)

住宅街の場合、揺れが収まったらすぐさま避難の準備を整えるのがセオリーだが、建物が密集する地域では、むやみに外に出ることは危険につながる。

 

たとえばコンビニやスーパーは意外にも堅牢な造りで、陳列棚の高さや商品の重量はある程度調整されているため、比較的安全だといえる。可能であれば、レジテーブルの下などに潜りこみ、余震を警戒するのが最上である。

だが、落下物をやりすごしたところで、地震の脅威を免れたわけではない。次は火事の危険が身に迫るのだ。

電線の漏電や給湯器から、突如として火の手が上がり、避難経路を封じてしまう。視界は煙に包まれ、のどや鼻を突くにおいがあたりに立ちこめる。

「炎が人間の背丈くらいの高さに燃え上がっていたら、自力で消火するのは困難なので、逃げることを優先しましょう。

火事でほんとうに危険なのは、炎ではなく煙に含まれる有毒ガスです。姿勢を低く保ち、ハンカチやタオル、濡らしたネクタイでもいいので口を押さえて避難してください。化学繊維の衣服を身に着けている場合は、火が燃え移る可能性があるので脱ぎましょう」(前出・渡辺氏)

Photo by iStock

低層階での火災であったとしても、煙は上層階までどんどん回っていき、その速度は秒速5mに達する。「火は待っていれば消してくれるだろう」と考えるのは、逃げ遅れの最大の原因になる。

ではどうすればいいのか。大きな建物であれば、避難経路は2つ以上あるものだ。普段からよく行く建物のどこに非常階段や避難はしごが用意されているか、確認しておくことが大切だ。

「公共の場所では、子供連れの方も多く、火の手が上がるとパニックになって、我先にと非常口に押しかけ、かえってケガのもとになることがあります。

押し倒されないように、安全な場所にしばらく身を置き、ワンテンポだけ遅れて移動するなど、冷静な判断が求められます」(前出・和田氏)

なんとか建物から脱出できた――。それでもまだ気を抜くのは早い。ほかのビルから火が延焼し、あたり一帯が火の海と化すことも、大地震では考えられるからだ。

もし逃げるならどこか。繁華街の裏路地や住宅密集地では、迷って袋小路に入ったあげく、火に巻かれる可能性がある。まずは「幹線道路を目指す」こと。幹線道路沿いを歩いていれば、広域避難場所を示す地図が街角に立てられているはずだ。

地震で交通網がストップしたなか、すぐに救助が来る保証はない。建物から脱出し、できるかぎり火の元から離れる、と心がけておこう。