ある視点から見ると「沖縄は日本ではない」とはどういうことか

「琉球の自然」の特異さと多様さ
青山 潤三 プロフィール

独自の進化を遂げた沖縄の生物たち

南西諸島のそれぞれの島々には、島毎に特有の地史があります。南西諸島全体としては、1000万年以上前にその原型が形作られた(大陸から切り離された)と考えられています。

現在に至るまでの悠久の時間の中で、それぞれの島は、異なる過程と時間単位に沿って成り立っています。中でも、より古い時代に陸塊が周囲の陸地と切り離されたと考えられる奄美・沖縄には、独自の進化を遂げた(というよりも進化に取り残された)顕著な固有種が存在します。それらの種の多くは、屋久島以北には分布していません。

渡瀬線の持つ本来の意味は、奄美・沖縄に固有の生物相と、屋久島以北の生物相を分ける境界線だということです。

ここで大事なのは、奄美・沖縄(先島諸島は除く)のみに特有な生物は、それ以南(すなわち南琉球=宮古・八重山などの先島諸島)にも分布しているわけではない、ということ。気候の部分でも述べたように、南方(熱帯アジア各地)に連なる種の多くは、どこか特定の地点で分布が途切れることはありません。途切れるのは、あくまで「奄美・沖縄」にのみ固有の生物なのです。

渡瀬線は、南と北の明確な境ではなく、奄美・沖縄の生物相と、それ以北の生物相との境界である。ということは、奄美・沖縄の南側にも境界線があるということになります。その「蜂須賀線」については、詳しくは次項「中琉球」「南琉球」の項で述べます。(つづく)