スペイン・マドリードの闇を映す巨大スラムに丸山ゴンザレスが潜入!

クレイジージャーニー裏日記⑫前編
丸山 ゴンザレス プロフィール

ゲートウェイドラッグ

「1000年前は、ここはオレたちの土地だった。俺たちはここに住む権利がある。税金だって払う気なんだ。それなのに払わせてくれない。政府が悪いんだよ!」

誰に聞いてもこのような返事。住民と行政の対立だけではなく、キリスト教とイスラム教の問題が根底にあることが伝わってくる。最終的に政府に問題があるというのは分かるが、それでも現状では、税金を払っていない違法な状況で暮らしているということは把握できた。しかし、不法な住居には見えない立派な家が並んでいるのには驚きだ。それがセクター4、5あたりの印象だった。

ここまでに何軒か家の中にお邪魔させてもらおうと思ったが、どの家も警戒心むき出しで歓迎ムードはない。門前払いされたり、玄関先だけでの対応というものがほとんど。それでも何人かは家に入れてくれた。観察してみると、割と立派な見た目に反して内部は老朽化していたり、よく言えばDIYだが、手作り感のある粗雑なものが多かった。水道は雨水をそのまま流したものだし、トイレの下水道も完備していないそうだ。前半のセクターとは比べるべくもない。

 

なかには歓迎モードの人もいたが、彼の家の庭にはマリファナが栽培されていた。入る前に「君らはどこから来たの?」「スペインでは放送されない?」と、同行していたディレクターの持つカメラを気にしていたのだが、その理由はこれだったのだろう。だが、スペインでは個人使用のマリファナは合法であり、転売しなければ違法性は問われないはずである。気になったので、質問をぶつけてみることにした。

「これは個人で使用するのですか?」
「もちろんだよ。家族で使う分だけだよ」
「それにしては多くないですか?」
「収穫前だからね。そう見えるだけさ」

明らかに個人仕様の量を超えている巨大なマリファナを見ながら、この場所ではドラッグがわりと普通に流通しているのだということを感じ取った。薬物に詳しい人達の間で、マリファナは「ゲートウェイドラッグ」と言われている。その他多くのハードドラッグに手を出す前の最初のステップということだが、この場所がまさにスラム街の闇への「ゲートウェイ」になっているような気がした。

(つづく)