スペイン・マドリードの闇を映す巨大スラムに丸山ゴンザレスが潜入!

クレイジージャーニー裏日記⑫前編
丸山 ゴンザレス プロフィール

Canada realを歩く

Canada realの正確な場所は、聞き込みによって特定できていた。マドリードの北へ1時間、車で移動した田舎町だった。フリーウェイから外れて一般道へ。ドライバーが車を停める。降りた場所はなんの変哲もないただの街だった。商店が少なく、ただ住宅が一本道に沿って建ち並んでいるだけ。

町は地区ごとに6つに分かれていて、それぞれがセクター1、2、3、4、5、6……と呼ばれていた。正直なところ前半のセクターを歩いて思ったのは、これがスラムか?という若干の肩透かし感だ。途中で豚を飼っているおじさんたちに遭遇したのがハイライトだったぐらいだ。

ただ気になったのは、誰に話を聞いても「隣のセクターはヤバイ」と、判で押したように隣のセクターのあぶなさを伝えることだ。1の人は2、2の人は3、3の人は4……。妙な伝言ゲームでもしている気分だった。これが本当だったら、それこそ漫画のような世界観だ。

 

私は好奇心に後押しされて、ひたすら突き進んでいく決意を固めた。同行していたディレクターは苦い顔。雇った通訳さんは「この一帯はマジでヤバいとこなんですよ」と、完全に引け腰だ。雇ったドライバーに至っては、「会社との契約でこの地区にはこれ以上入れない」と同行を完全に拒否。まあ、別にバックアップなんて必要ないし、むしろ最初は一人で行くつもりだったし、それもまた望むところ、といった気分だった。

テンションの低いディレクターと通訳を連れて、ずんずん突き進む。すると、セクター4に近づくにつれて徐々に雰囲気が変わりだしたのがわかった。通りにゴミが目立つようになってきたのだ。粗大ごみも道端にあることから、行政サービスが満足に機能していないのかもしれないと思った。

住民らに話を聞くと、このCanada realは、セクター1~3あたりの前半では、税金を納めて市民として扱われている人も多く、電気、ガス、上下水道、ゴミ収集などのインフラも整えられ、行政サービスも機能しているという。それが、セクターの後半になっていくと一変する。それ等の地区に行政サービスが行き届いていないのは、住んでいる人々がスペイン人と認められていないことが理由だと分かった。

住人の大半が移民によって形成されている。そのなかには近年急増している不法移民たちのグループが暮らしており、特にモロッコやルーマニアが多いという。そのあたりの現状について、モロッコ人の住人に話を聞いてみる。