世界から見たら非常識?「日本人の投資」に欠けているもの

これが「世界標準の投資戦略」だ

投資資金を「コア」と「サテライト」に分けて運用するーー。世界では常識のポートフォリオ戦略が、日本には浸透していない。

この、まるで「メイン料理」の欠けたディナーのような日本市場を疑問視する男がいる。日英の財務省、マッキンゼーを経て「ロボアドバイザー(ITを活用し高度なアルゴリズムで資産運用を代行するサービス)」で起業した、ウェルスナビCEOの柴山和久氏が、世界標準の投資戦略について指南してくれた。

取材・文/伊達直太 撮影/山上徳幸

日本の投資市場には「コア」が足りない

コア・サテライト運用という言葉を聞いたことがあるだろうか。

投資資金を主軸となるコア(核)と、それ以外のサテライト(衛星)に分けて構成するもので、ポートフォリオを組む際の基本的な戦略として世界に広く知られている方法である。

それぞれの役割としては、まずコアの資金は安定的な成長が見込める銘柄などに投資し、じっくりと資産を増やす。コアの部分は長期のグローバル分散投資が前提となり、大きく増やすことはできないが、大きく減らすリスクも小さい。

一方、サテライトの資金はその時々の市況などに合わせてリターンが狙える銘柄などに投資する。例えば、新興国や中小型株への投資はサテライトの部分で、短期で大きく増やせる可能性があるが、その分、減る可能性も大きくなる。

コアを「守り重視の運用」、サテライトを「攻め重視の運用」と分けてもよいだろう。

「長期で安定的に資産を増やしていくためにはコアに重点をおいたポートフォリオ(資産配分)を組むことが重要」

と、ウェルスナビCEOの柴山和久さんはいう。

ウェルスナビは、全自動で資産運用を行うロボアドバイザーのトップ企業で、顧客から預かった資産をコアで長期運用するのが特徴だ。

なぜコアに絞っているかというと、そこが日本の投資市場に欠けている部分であるからだと柴山さんは説明する。

「日本の投資市場はサテライトの商品が充実し、投資家の多くもサテライト中心の投資をしています。例えるなら、メインディッシュ(コア)とサイドディッシュ(サテライト)が逆転しているような状態です。さらに最近はFXや仮想通貨といったハイリスク・ハイリターンの投資に目を向ける人も多く、食卓の上にサイドディッシュとスパイスだけ並べているような投資家も多いように感じます」

このような現状を踏まえて、ウェルスナビは6〜7つのETF(上場投資信託)を通じ、世界の約50か国、約1万1000銘柄に投資している。コア投資で重要な分散投資効果が大きく、長期のグローバル投資が実現できる。

 

お金持ちもビギナーも基本戦略は同じ

メインはあくまでもコアである。具体的には、長期の分散投資を前提として、グローバルな市場でタイプが異なる商品に投資する。

なぜこの方法で資産が増えるかというと、グローバルに分散投資することにより、世界の経済成長の恩恵が受けられるからである。

ここ20年くらいの推移を見ても、例えば中国経済が発展し、ASEANやアフリカなどもその後を追っている。

世界経済が成長した分の一部は、投資家がリターンとして分け合うことができるため、世界経済が成長している限り、長期のグローバル分散投資をしている投資家も継続的に利益が得られる。