「日本人は投資が嫌い」は本当か? この国のいびつな資産運用の秘密

なぜ投資スタイルが二極化したのか
マネー現代編集部 プロフィール

「外資系企業に勤めていたときは、前日のアメフトや野球の話をするような感覚で同僚と投資の話をしていました。企業によっては会社の福利厚生として資産運用の相談ができ、資産が少ないときからプライベートバンクのサービスが受けられる場合もあります」

家庭環境の面でも、親世代が何かしらの投資資産を持っていることが多いため、投資そのものが身近であり、何をすればよいかがだいたいわかる。

とはいえ、日本人が明日から急に同僚と投資の話ができるかというと、それもなかなか厳しいだろう。投資と距離をおく期間が長引いたことで、「お金のことは他人に話さない」という文化も醸成された。

 

そこで多くの人が頼ったのがインターネットである。ネット上に溢れている投資関連の情報を参考にしながら、1人1人が孤立した状態で手探りで投資する。そういう環境が出来上がりつつある。

「ネットは情報の洪水です。投資の手法は無限にあり、その時々の経済状況などによって最適な方法も変わりますから、調べるほどわからなくなり、途方に暮れている人も多いと思います。投資関連の情報は、なんでも答えてくれるGoogleですら明確な答えが出せない珍しい分野なのです」

二極化した日本人の資産運用

柴山さんによれば、投資が普及しなかった要因として、国内経済が不調だったことも挙げられる。いわゆる「失われた20年」の影響である。

「日経平均株価を例にすると、80年代のバブルが崩壊した後の株価は2万円2000円前後。それから25年経った今の株価も同じ水準です。長期分散で買っていけば多少のプラスにはなりますが、単純に見れば、この間投資していたとしても儲からなかったということです」

しかも、25年間運用したとして、その半分以上の期間は含み損に耐えている状態だ。これは精神的に辛い。それなら元本割れリスクがほぼない郵便局の積立預金の方がはるかに合理的だ。

経済そのものが成長し、増加分を投資家たちで分け合うことが投資の基本的な考え方であるとすれば、国内経済が成長しなかった「失われた20年」は投資しても仕方がない市場であり、投資が普及しないのも当然の結果と言える。

また、経済が成長しなかったことで、市場は「みんなで利益を分け合う場」から「お互いからお金を奪い合う場」に変わったと柴山さんはいう。

「経済成長がなければ投資家が分け合うリターンも生まれません。そのため、市場で勝てるのは安く買って高く売れる人に絞られるようになりました。ただ、そのためには高度な技術がいります。投資の初心者の方は特に、高く買って安く売ってしまうこともあり、そのような奪い合いの環境が投資は怖いというイメージを生み出すことになったのです」