ヴィッセル神戸が進める「バルセロナ化」最大のキーマンはこの人

情熱が違う

「改革のスピードは早くなります」

ヴィッセル神戸の大改革が進んでいる。ルーカス・ポドルスキに続き、誰もが驚いたアンドレス・イニエスタの獲得。そして今回、吉田孝行監督を交代させ、あのジョゼップ・グアルディオラが師と仰ぐファン・マヌエル・リージョ監督を迎えた。

リージョ監督は1995-96年シーズン、リーガ・エスパニョーラ(現ラ・リーガ)1部史上最年少監督となる29歳でサラマンカを指揮。以降、スペインの中小クラブを中心に率いてきた。ビッグクラブを率いた経験はないものの、稀代の戦術家としてその名を馳せてきた。メキシコのドラドス・シナロア監督時代にグアルディオラを呼び寄せ、彼はそこで現役を終えていることからも親密さは推して知るべしだ。

バルセロナを指揮した経験がないとはいえペップが多大な影響を受けたリージョ監督の招へいと、神戸が推進する「バルセロナ化」はマッチする。最高の教材であるイニエスタやポドルスキとリージョ監督がどう共鳴するかを含め、プロジェクトには大きな期待を持つことができる。

 

バルセロナのメイングローバルパートナーを務め、神戸のオーナーである楽天・三木谷浩史会長の戦略に沿い、現場でその「バルセロナ化」を推進する役目を担っているのがクラブOBで元日本代表の三浦淳寛スポーツディレクター(SD)である。

三浦SDが三木谷会長から直接オファーを受けたのは昨年末のこと。理念に共鳴して受諾に至った。2月1日に就任してからは、精力的に動いてきた。楽天の協力を得て、バルセロナに直接出向いて各部門から話を聞く機会を得た。

三浦SDがクラブに呼び入れた平野孝(アカデミー部長兼スカウト部長)と林健太郎(トップチームアシスタントコーチ)を1カ月間のバルセロナ研修に向かわせ、バルサからのスタッフも招き入れた。イニエスタ獲得の際も三木谷会長から相談を受け、「夢みたいな話ですが、もし来たら改革のスピード感は絶対に速くなります」と進言し、三木谷会長の背中を押している。

三浦SDとバルセロナ。

強い憧れが、元々あった。1994年、横浜フリューゲルスに入団。主力として活躍し、98年にバルセロナOBで引退後もトップチームのコーチを務めたカルロス・レシャックが監督に就任。運命の出会いを果たした。

今年8月、三浦SDに話を聞く機会があった。レシャックの教えは、今も強く胸に残っているという。

「日本人はよく走る。でも君が全力で走るのと、ボールをすっと走らせるのでは、どっちが速いんだ? 人は汗をかいても、ボールは汗をかかない。ならばボールに汗をかかせるようにしろ」

20年前、ボールを持つ意味を与えてくれた指揮官の一つひとつの言葉が、三浦SDのサッカー観を再構築していった。「バルセロナ化」計画を実行するSDの仕事は、言わば運命的であった。