仕事っぽくないレーベル「カクバリズム」がヒットを飛ばし続ける理由

22歳に一人で設立・旅立った星野源
角張 渉 プロフィール

友だちにすすめたくなる信頼できる曲

9月に新作『楽しく暮らそう』をリリースした思い出野郎Aチームは、人気が広がっていく感じが初期カクバリズムの頃と近い感覚があるんです。「そういえばあの人もいいって言ってたな」って音源聴いたり、ライブに行ったり、そういう音楽好き同士の信頼って言うんですかね、友だちにすすめられたり、すすめて「いいね!」って聴く楽しさがあるんですよ。キャッチ―で元気が出る楽曲だし、面白いバンドですね。

うちに所属しているアーティストは、音楽活動のメインとなる音源制作とライブ活動を軸にしつつ、映画やドラマの劇伴とか、CM、ほかのアーティストへの楽曲提供とか、多岐にわたる活動をしているんです。二階堂和美さんが高畑勲監督の映画『かぐや姫の物語』のテーマ曲を歌わせてもらったり、NHKの音楽番組『バナナ・ゼロミュージック』にYOUR SONG IS GOODの主要メンバーがレギュラー出演したり。スカートや思い出野郎AチームがNeggicoに楽曲提供させてもらったり。このほかにもいろいろあるんですけど、意外なところでうちのバンドを目にする機会をせっかくだから今後も増やしていけたらいいなって思ってます。

YOUR SONG IS GOODの新作12インチレコード「Coast to Coast」。10月と11月には大阪、名古屋、岡山でのライブが予定されている
 

失敗してるかもだけど、まだ大丈夫。

スタッフの人材育成については、ここ2年ぐらい考えるようになりましたね。うちは担当するアーティストについて全部やる感じなんです。マネージャー、ライブ制作、物販、音源制作、宣伝を一人で全部やる。もちろん宣伝や制作は皆でやるんですけど。そうすると全員、それぞれの現場に出まくっているから、経験値のレーダーチャートが全員違うんですよ。

規模の大きさの良い悪いは置いといて、2000人動員のライブと200人動員のとでは、音響や照明とか舞台にかかわる人の数も違うし、物販の売り上げの流れとか、単価はどうなのか、会場の動線を知っているか、そういう経験値に差が出ちゃう。各スタッフの経験が、会社の財産としてスタッフ全員に落ちてるわけじゃないんです。そこをどうするかが悩みではありますね。

ぼくらカクバリズムはメチャクチャ成功してるわけでもないし、失敗してるかもだけど(笑)、まだ割と大丈夫って感じなんです。20代の若者がトライ・アンド・エラーしながら、スタンダードなやり方ではあるけれども、その都度、試行錯誤してきたっていうだけなんです、ホント(笑)。

この先どうなっていくのかまったくわからないですけど、ぼくらがいいと思った音楽に、みんなが「いいね!」って言ってくれないとまず始まんないし、それが一番だし、いままでもこれからもずっと変わらないですね。

撮影/村田克己「

聞き手/構成 丹野未雪


角張渉(かくばり・わたる)
1978年宮城県仙台市生まれ。2002年3月に音楽レーベル/マネージメント会社カクバリズムを設立。YOUR SONG IS GOOD、SAKEROCK、キセル、二階堂和美、MU-STARS、cero、VIDEOTAPEMUSIC、片想い、スカート、思い出野郎Aチーム、在日ファンク、mei eharaなど、エッジの利いたアーティストを続々と輩出する。2017年には全国5ヶ所7公演の記念ツアー「カクバリズム15Years Anniversary Special」を開催。初めての著書『衣・食・住・音〜音楽仕事を続けて生きるには〜では音楽仕事を続けて生きてきた15年の詳細をまとめている。

カクバリズム http://kakubarhythm.com/