仕事っぽくないレーベル「カクバリズム」がヒットを飛ばし続ける理由

22歳に一人で設立・旅立った星野源
角張 渉 プロフィール

就職したことがない

扱う金額が大きくなって、インディペンデントとはいえ音楽にビジネスを感じざるを得ないのではと聞かれると、それがね、あんまりないんですよ。会社のお金って当たり前ですけど、自分のものではないじゃないですか。

 

毎年右肩上がりみたいな経営を追い求めていないのは、続けているとまた新しい音源、新しいバンドに出会える、ちょっとした音楽的な興奮が先に待っている、ということを知っているからなのかな、と思います。だからその環境をキープして行きたい。それに、あんまり会社の規模を大きくしちゃうと、運営するのに精一杯になりそうだし、これまでの形も変わってしまいそうだし、新しい音や新しい出会いに鈍感になってしまいそうだなって。

「いやいや、ビジネスなんだからもっと利益を上げてデカくしなきゃ」と思う人もいるかもしれないけど、ぼくにとっていい具合の規模というか形というか。そこは堅実なところがあるかもしれないですね。

撮影/村田克己

考えてみたら、いわゆるビジネス的って言うか何と言うか、割り切った仕事ってしたことないんですよ。レーベル始めてしばらくは、どこから仕事なのかそうでないのか、本当にグレーでしたし。ぼくが就職したことないっていうのもあるんでしょうけど、普通の仕事の感じってのがまずわからない(笑)。

右も左も分からないで進めてきてしまったので、仕事の基本的なやり方ってのがわかってないですよね。ムラがあるんですよね、自分の興味ある仕事とか面白い仕事に熱が入りやすい……。自分の興奮度がそのまま伝わる仕事でもあるので、それはそれでいいんですけど、抜け落ちも沢山出てくるので、その都度反省するの繰り返しですね。

ただ、売れるというかレスポンスがある程度ないと進め難くなるってのもこの15年、いろいろ経験させてもらってわかったことでもあって。いい音楽制作環境を作るためにもある程度の結果が時に必要になってくるというか。結果って言葉好きじゃないし、結果と受け取る部分もまちまちだから、またややこしいんですよ(笑)。