22歳のときに一人で「カクバリズム」を立ち上げた角張渉氏。カクバリズムオリジナルTシャツを着て 撮影/村田克己

仕事っぽくないレーベル「カクバリズム」がヒットを飛ばし続ける理由

22歳に一人で設立・旅立った星野源
レコード産業が縮小、多様化するフェスティバル、配信サービスの台頭――90年代後半から従来のビジネスモデルが大きく変化し続けている音楽業界のなかで、独自の存在感を“ほどほどに”放っているインディペンデント・レーベル、カクバリズム。いわゆるメジャーレコード会社に属さず、音源の制作、宣伝、販売とともに、バンドやアーティストのマネージメント業務をおこなうこの会社には、現在、YOUR SONG IS GOODSAKEROCKキセル二階堂和美ceroといったアーティスト十数組が所属。

2002年に22歳の若者が「大好きなバンドの音楽を世に送り出したい」ために一人で設立、2018年に15周年を迎えた。「音楽とビジネスは相性が悪い」と語り、「いかに仕事っぽくせずに、いい音楽を作って売り上げを立てられるか」を実践、成長し続けているカクバリズム代表・角張渉の音楽仕事とは。
カクバリズムの事務所にて 撮影/村田克己

売り上げ=成功とはいえない

カクバリズムのスタッフは、設立初期から手伝ってくれてる小林くんをはじめとする30代が3名、20代が2名、そんで40代は今年40歳の僕とマネージャーもやるし経理もやってくれるスタッフの2名ですね。現在7人でやってます。最近入社した23歳の柳沢くんが、会社員らしい新入社員第一号なんじゃないかな。言ったらうちに新卒で就職ですからね、ちゃんと福利厚生も整えましたし(笑)。今度、2名新規採用募集する予定なんです。

15年やってきて、振り返ってみると色々矛盾してるな、って思いますね。経営的にも気持ち的にも。判断基準がゆらゆら行ったり来たり矛盾しながらも進んできたって感じです。

音楽の仕事って、世間で言われている成功とは判断基準がまたちょっと違うんですよ。売り上げで利益が出たという経営面での成功があっても、気持ちのなかではどうなのかとか、ひとつの基準で計れない。売り上げがかんばしくなくても、お客さんの反応がすごく良かったら成功だと思えることもあれば、やっぱりそれだけじゃ成功と言い切れないときもあるし。正解が見つかりにくし、そもそも正解って?話になるというか。

 

前年度比マイナス20パーセントでもいい

例えば、「ワールドビジネスサテライト」的な成功は、前年度比120パーセント利益増とかが正解ですよね。でも、うちは前年度比マイナス20パーセントでもいい、っていう会社なんです。もちろん、それが次の年も続くのは困るけど(笑)。

2008年に、会社の運営資金というか貯金をほぼ使ったことがあったんですよ。SAKEROCKの代表作だとぼくは思っている『ホニャララ』というアルバムに、過去最高の制作費と宣伝費をかけたんです。勝手ながら怖かったですよ。ぼくは資金を借りずに会社をやっていることもあって、融資とかもよくわからないし、そもそも転けたらそれまでだったし。

でも、内容に手応えがあったし、ライブ動員も全国ツアーの会場がほぼ完売というほどぐんぐん伸びていたし、石橋を叩いて渡る性質ではあるんですが、どーんと勝負をかけたかった。売り上げが入るのは3カ月後なので、さてな……ってさすがに胃が痛くなりましたけど……。スマッシュヒットしてくれたので、一安心でしたね……!

角張氏が貯金の大半を費やして制作・宣伝したSAKEROCK『ホニャララ』