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普天間と辺野古、沖縄の基地問題が20年迷走し続けた「根本的理由」

三度の「政治化」が行われた

「そもそも沖縄の基地の負担軽減とは、巨大な基地を一挙に移転するというような派手な話ばかりではありません。航空機の機種や部隊の編成といった細かい技術的条件を整え、返還を可能にしていくことが「本筋」だったはずです。ところが、普天間返還・辺野古問題は、過去の政権の都合によって過剰に「政治化」され、そうした視点が置き去りにされている」

こう話すのは、上智大学教授の宮城大蔵氏だ。

9月30日、沖縄県知事選が投開票を迎える。翁長雄志前知事の急逝を受けての今回の選挙。氏が名護市辺野古への基地移転反対を訴え続けてきたこともあり、改めて基地移転問題にスポットライトが当たっている。

翁長雄志前県知事〔PHOTO〕Gettyimages

他方で知事選を前に現状を見るにつけ、なぜ問題がここまでこじれたのか、多くの人が疑問に感じているのではないか。どうして問題はここまで迷走したのか、と。

今回話を聞いた宮城氏は、戦後日本外交史を専門とする。冷戦後の外交と内政の関わりを描いた『現代日本外交史』(中公新書)は専門家の間でも高い評価を受けた。過去、基地問題の最重要人物である橋本龍太郎元総理にもインタビューを行っており、その成果を生かした『普天間・辺野古歪められた二〇年』(集英社新書・共著)も執筆している。沖縄専門のウェブメディア「オキロン」の主要な執筆者の一人でもある。

基地問題を広い視野から俯瞰すると、浮かび上がってくるのは、基地を「政治化」してきたことの問題性だ。とくに、普天間・辺野古の問題が、技術的な問題を置き去りにし、政治問題として大きく取り上げられた結果、沖縄と本土との「間」にはもちろん、沖縄の内部にも分断、亀裂が生まれてしまったのである(以下、「」はすべて宮城氏の発言)。

 

「唯一の解決策」の罪

「まず今回の知事選について言うと、いずれの候補が勝つにせよ、普天間・辺野古問題をどう処理していくのか展望が見えてきません」と宮城氏は言う。

「驚くべきことに佐喜真氏はいまのところ、辺野古新基地建設について態度を明らかにしていません。しかし、自民党の推薦を受ける以上、当然、新基地推進を考えているはず。

しかし、種々の調査によれば、沖縄県民の7割程度が辺野古新基地に反対しています。当選した場合、知事としてその声を完全に無視することができるのか。安倍政権としても翁長知事相手だったので強硬策一辺倒でしたが、自らが推した佐喜真氏には、逆に何らかの配慮をする必要が出てくるのではないか。

一方、玉城氏が勝った場合には、菅官房長官が主導してきた従来の強硬策は苦しいものとなるでしょう。さすがに批判も高まるでしょうし、辺野古新基地建設ではいずれ設計変更の申請が不可避であり、知事と対立したままでは完成は困難です」

こんがらがった結び目は、一度の選挙で展望が開けるようなものではない。ここまでに抜き差しならない事態を整理するには、時間の幅を広く取って事態を見る必要がある。