Photo by iStock
# 銀行員 # 転職

最も価値が高い「30代の銀行員」には、どんな転職先がある?

銀行員の「転職の損得」2
メガバンクの大幅な人員削減、店舗の統廃合、AIの台頭……。自身のキャリアを考えざるをえない状況が続く中、銀行員の転職が急増している。
しかし、一度高いステータスを手に入れた彼らにとって、転職することは本当に望ましいことなのか?
自身も元銀行員から転身し、『失敗しない銀行員の転職』の著書もある渡部昭彦氏が3回に渡って銀行員の「転職の損得」を考える短期集中連載、第2回。20代、30代の銀行員の転職の実情を見ていこう。
・第1回:30代で1000万…高給取りの銀行員が転職するのは本当にトクか?

20代と30代の転職はどう違う?

前回の記事でも述べたが、銀行に限らず日本における昨今の転職模様を、転職する側ではなく採用する側からの視点で年代別に整理すると概ね以下の通りだ。この4分類に基づき銀行員の転職の損得を考えたい。

①20代→第2新卒(的)採用
②30代→ポテンシャル採用
③40代→プロフェッショナル(専門性)採用
④50代→二極化採用(経営陣か契約社員か)

本稿では20代と30代の転職について、詳しく見ていこう。

 

20代は焦らなくていい

銀行では一時収まっていた新卒の退職が最近また増勢に転じているようだ。入行後3年以内に新卒の3割が辞めると言われてきたが、その内のかなりの部分が1年目へと早期化している。

人気業種である銀行に入ってはみたものの、日々の仕事は窓口か店周り(みせまわり)、教育期間とは分かっていても余りにつまらない。仮にここを乗り越えても名前も顔も知らない同期が千人近くいる。これから30年間、不毛な出世レースに身を投じる気にはならない。これは自然な気持ちかも知れない。

銀行員の20代の給料は、多少他業種より高いとはいえ、「やるせない」気持ちを抑えてまで銀行に残らせる力を持つものではない。新卒で会社を選ぶ時に、必ずしも給料には着目していないのと同じだ。

この年代の転職は、経済的な損得でなく「この会社が好きか」「その仕事が好きか」で決めるケースが多い。言わば感性に基づく転職だが、仮に失敗しても先は長い。人生100年時代で見ればいくらでもチャンスはある。

Photo by iStock

必ずしも損得による転職ではないとはいえ、外資系金融機関であれば給料は倍増するだろう。それ以上に、外資系のキャリアは、金融業自体に興味があるのであれば、その先端を体験できるという点でむしろ意味があるかも知れない。

高給は日々の緊張感とプレッシャーの報奨だが、邦銀のステータスが低下することはあっても外資系金融機関は業界の中で先頭を走り続けるだろう。チャレンジする価値は十分ある。

最近、20代でベンチャー系の企業に転職する銀行員が増えている。給料はもちろん下がるし、何と言ってもリスクが高い。仮に失敗しても昨今の環境では「サラリーマン」としてやり直せるので、夢を追いかけることは理解できる。感覚としては「千三つ」とまでは言わないが「百三つ」くらいだろう。リスク見合いのリターンを、ストックオプションや株式取得などエクイティで押さえておくことが必要だ。

上場企業を含め一般の事業会社に転職する20代銀行員はそれほど多くない。給料の問題もあるが、それ以上に、魅力を感じる会社がない、または、そのような会社を探せないからだ。上場企業だけで3000社もあるのだ。どこがいいのかが分からないのは当たり前だ。