「介護貧乏」回避のため、これだけは知っておきたい介護保険活用法

人生100年時代のマネーシフト(15)
加谷 珪一 プロフィール

特養の入所条件は一気に厳しくなった

つまり、多くの人にとって特養が最期の砦というわけだが、施設の数は少なく、入所には厳しい条件が設定されている。これまで特養は要介護1以上で入所が可能だったが、2015年4月の制度改正によって、原則として要介護3以上の認定が必要となった。

要介護3というのは「立ち上がりや歩行、食事、排せつ、入浴の際に全面的な介助が必要」というレベルであり、一般的な感覚からすると、家族が働きながら片手間に介護できる水準ではない。逆にいえば、このくらいまで悪化しないと特養には入れないということである。

 

特養については、都市部を中心に多数の高齢者が入居を待っている状況だったが、入居条件を一気に厳しくしたことで待機数は激減したといわれている。

〔PHOTO〕iStock

特養に入ることは以前より簡単になったものの、逆にいえば、その段階までは在宅でケアを続けなければならない。この負担をどうするのかが、おそらく最大の課題ということになるだろう。

介護保険制度のもとでは、要介護認定を受ければ、基本的な支援を一通り受けることができるが、介護事業者はつきっきりでサービスをしてくれるわけではない。事業者によるサービスが提供されていない時は、本人が自力で動くか、家族が支援することになる。

家族の負担がどの程度かによって生活の質は大きく変わるので、介護プランの設計が重要なポイントとなる。実際に要介護状態になってみないと分からない部分も多く、事前にシミュレーションするのは難しいかもしれないが、やっておけることがまったくないわけではない。

介護を受けるための手続きについて把握しておき、いざという時にスムーズに手続きが受けられるよう準備しておくことである。これによって、余分な出費も抑えることができる。