〔PHOTO〕立木義浩
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続・鹿島茂教授の「痛快!カサノヴァ講座」

タリスカー・ゴールデンアワー第18回(後編)

提供:MHD

⇒前編【「天才プレイボーイの生涯」を紐解く】からつづく

(構成:島地勝彦、撮影:立木義浩)

立木: それで、カサノヴァは15歳のとき、しかも女2人との3Pでどんな風に童貞を失ったわけ? 気になって撮影どころじゃないよ。

シマジ: そうくると思いました。では鹿島教授、タリスカースパイシーハイボールで喉を潤しながら、講義の続きをお願いします。

鹿島: わかりました。このハイボールは黒胡椒と炭酸の刺激が心地よくて、ついつい饒舌になってしまいますね。

じつはカサノヴァには、アンジェラという意中の人がいたんですが、彼女と同じところで刺繍を習っているナネッタとマルタという姉妹がいました。ナネッタは16歳でマルタは15歳。カサノヴァの初体験の相手は、かねてから想いを寄せていたアンジェラではなく、その姉妹だったというところが面白いんですよ。

シマジ: 一度、カサノヴァはアンジェラとナネッタとマルタの4人で一晩蝋燭が消えた真っ暗な部屋のなかで過ごすんですが、カサノヴァがアンジェラを巧く抱こうとするけど、アンジェラにはその気がなく、カサノヴァの腕をするりと逃れてしまうんですよね。

鹿島: そうそう。それでナネッタは2人の恋のお手伝いまでするんだよね。一度目の失敗から2ヵ月後、ナネッタから、もう一度アタックしてみたらと言われたカサノヴァは、今度こそはと思い、アンジェラを誘う。そこでナネッタ姉妹は再び一計を案じる。

ところがです。姉妹の未亡人の叔母宅の4階で、ことを行なうことになったんですが、肝心のアンジェラがこない。結局3人で、叔母が寝静まった深夜、3Pに至ったというわけです。

立木: それはさあ、そのしたたかな姉妹にカサノヴァがはめられたんだよ。

シマジ: 鹿島教授、タッチャンの見解は新しい解釈じゃないですか。

鹿島: さすがは立木さん。モテる男ならではの新解釈ですね(笑)。

立木: そんなことよりも教授、どうやってことがはじまったのか、もっと具体的に教えてちょうだいよ。

鹿島: それがですね、いまとちがって、18世紀の文章は具体的には書かないんです。まだ人類が気品を持っていた時代なんでしょう。でもさすがはカサノヴァです。いざとなると、姉妹を天才的な話術で口説くんです。姉妹の美しさをさんざん褒めあげてから、眠くなったふりをして、姉妹に自分を挟んで川の字に裸で寝るよう説き伏せる。このときの口説き方は、さすが生得的なプレイボーイですよ。

「ナネッタ、あなたはわたしを正直な人間と思っているんですか、いないんですか」

「もちろん、正直な方だと思っているわ」

「結構です。そうだったら、わたしにそう納得させるべきじゃありませんか。そのためにも、あなた方2人は、すっかり服を脱いでわたしの両側に寝るべきですよ。あなた方は2人で、こちらは1人です。なにがいったい心配なんですか。そして指一本触れないと、わたしの名誉にかけて誓った約束を信頼しなきゃいけません。わたしがおとなしくしているのをやめたら、いつだってベッドから飛び出せるじゃないですか」

ヒノ: たしかに巧みな口説き方ですね。強引さは感じさせず、それでいて断りにくい方向に誘導していくところがさすがです。

鹿島: そうなんですよ。女1人を相手にするときよりも、2人のときのほうが声をかけやすい、というナンパ師の証言と見事に符号しているでしょう。女は1人だと用心するが、2人だといつでも逃げ出せるという安心感から容易に警戒心を解くものなんです。

シマジ: 3Pとはいっても、カサノヴァは姉妹1人1人と寝るんですよね。まあ童貞と処女2人ですからね。

鹿島: 暗闇のなかですから、最初に寝た女が姉か妹かわからなかったと書いていますね。しかも急襲したりせず、少しずつことを運んでいく。女は眠ったふりをしたまま、カサノヴァのなすがままにされていました。

この状況では、「眠っていて気がつかなかった」というエクスキューズが担保されていますよね。そこが大切なんです。女が男に身を任せるには、口実が必要だというのが、真理です。つまり、逆に言うと、男たるものはすべからく女が口実をつくりやすいよう配慮してやるべきなんですね。

ボブ: なるほど。「あのときはタリスカーを飲みすぎてしまったから」とかでもいいんですね。今日は勉強になります。

立木: おい、おい、愛妻家のボブがそんなこと言っていいのか。

ボブ: わたしとしたことが、失礼いたしました。純粋に心理学的な興味でして、変な意味ではありません。。

ヒノ: それにしてもカサノヴァは、15歳の童貞のくせによく焦らずにじっくりとことを進められましたね。

鹿島: そこが彼の天才たる由縁でしょう。「徐々にわたしが彼女の女の神秘を開いていくと、彼女のほうからも、少しずつそれに合わせてきた」と書いています。また「ついに自然の本性は彼女に決意をさせた。わたしはそこに何の疑惑ももたない最初の女を見た」と書いて「そして反対側に向きをかえ、わたしの感謝の気持ちのすべてを当てにしていたに違いない1人の娘に、同じことをしにいった」と結んでいます。

立木: 初体験なのに、いきなりベテランのような技を発揮したわけだ。しかもその冷静沈着っぷりが凄いよね。感服しました。

鹿島: そして姉妹をたっぷり味わった後、カサノヴァはこんな甘い言葉を吐くんですね。

「死ぬまでこの気持ちは変わらないよ。わたしの天使たち。いまわれわれがしたことは、みんな愛の仕事だったんだよ。もうアンジェラのことなど問題じゃない」

この名セリフは二重丸をつけて拳々服膺すべきところでしょう。セックスが終わった後でも、このように照れることなく、愛を語るべきなのです。愛の言葉こそ最も有効な後戯となるのでしょう。

ボブ: いや~、今日は本当に勉強になります。

立木: ボブ、またそんなことを言っていいのか。

ボブ: わたしは妻しか愛していない千葉県では有名な愛妻家ですが、このごろ妻に愛の言葉をかけていなかったかもしれません。今日から反省して、妻に愛の言葉をかけるようにします。鹿島教授、ありがとうございます。

シマジ: ボブ、今日はお得意の企業秘密はないんですか?

ボブ: 女性に関しては企業秘密はまったくありませんよ。そうそう、本日は鹿島教授に感謝の意を込めて、スペシャルなシングルモルトを用意してあります。免許を受けた蒸留所としてはスコットランドで最も古い蒸留所の一つ、オーバンの14年です。

設立は1794年でして、ちょっと調べたんですが、カサノヴァが亡くなる4年前です。これでカサノヴァに乾杯いたしましょう。

ハイランドとアイランズが出会う場所で誕生した
オーバン 14年(OBAN 14 YEARS)

伝統的な製法で作られるこの西ハイランドシングルモルトは、スコットランドで最も小さい部類に入るランタン型ポットスチルにより、ハイランドとアイランズの特長を併せ持つ個性的な味わいが生まれます。