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キッコーマンのレストラン、「コース1万2000円」にした深い理由

いまの「繁盛店」に投げかけるある疑問
山下 知志 プロフィール

「国内外でしょうゆを軸にして、いろいろな食文化を融合させて、新しい美味しさを見つけるという活動に力を注いできました。その流れのなかで、当社がレストランを始めるならば、食文化の国際交流や食の融合を体感できる料理を提供する店にするということが決まりました」(臼井氏)

それにしても、和食と洋食や中華が1つのコース料理で供されるということに、たじろぐ方も多いと思う。ちょっと味覚のイメージがつかめない。

 

和食の村田、中華の脇屋が語る「狙い」

オープン第一弾(11月1日~12月7日)は京都の食材を使った料理。メニューをつくったのは3人の料理人とシェフだが、その名前を聞くと、とたんに胸が騒ぐ。

その3人とは、和食の村田吉弘氏(菊乃井)、フレンチの三國清三氏(オテル・ドゥ・ミクニ)、中国料理の脇屋友詞氏(Wakiya一笑美茶樓)である。誰もが認める超一流の料理人とシェフだ。村田氏と脇屋氏の2人に話を聞いた。

村田:「キッコーマンの茂木友三郎名誉会長から頼まれたのは、食文化の国際交流、融合というコンセプトで、キッコーマンでしかできないことをやってほしいということでした。それならば、3人でコラボしようとなった。3人がコラボすることは初めてです。普通ならそんなことはあり得ません」

脇屋:「こういうチャンスに選んでいただいたことは光栄に思っています。先頭バッターとして、次につないでいくシェフや料理人の方を考えると責任重大です。だからこそ、お客さまにより良い料理をお出しして、楽しんで、そして喜んでいただけるように力を尽くしたいと思っています」

肝心の料理はどうなのだろう。3人の個性がぶつかりあって、メニューがなかなか決まらなかったとか、かえって味を整えられなくなってしまった、あるいは意見が異なり感情的になったといったことはなかったのだろうか。

村田:「心配いりません。たしかに3人の個性はそれぞれできついですよ。でも、知己の仲ですからね。性格もよくわかっている。それに、もともとシェフは横のつながりがありまして、互いをよく知っています。もちろん、シェフ同士が料理と味で喧嘩することなどありません。その意味では、いろいろな料理人やシェフが合体しても、ぜんぜん問題ありません」

脇屋:「もう何十年来の付き合いです。僕と三國さんは出身が同じ北海道だし、和食の大将(村田氏)とは古くからの友人です。イベントや食学会でも交流があります。そういう付き合いの積み重ねがあるので、阿吽の呼吸というか、なにを優先してどうしていくのかということも手に取るようにわかっています」

だから、京都の食材を使ったメニューは「一瞬で決まった」(村田氏)という。

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村田:「和洋中どんな料理をベースにしているかは別として、お客さまに対する気持ちはみんな一緒です。それは、少しでもおいしい料理を楽しんでいただきたいという一言に尽きます。料理は食べたら一瞬でなくなりますが、その人の心の中には一生残るものをつくりたいと思っているのです」