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ウィキペディアが、実は「男の世界」だって知っていましたか

女性の参入障壁はこんなに高い
北村 紗衣 プロフィール

しかしながら、ウィキペディアに限らず、百科事典というのはどれもけっこう性差別的だ。18世紀の百科全書やブリタニカの初版も、女性による執筆参加や女性に関する記事の質という点では惨憺たるものだった。

ウィキペディアとブリタニカを比較した2011年の研究では、女性の伝記記事については両方にジェンダーバイアスがあり、どちらにも他方よりフェアである分野、そうでない分野があるという結果が出ている。

〔PHOTO〕Gettyimages

ウィキペディアにおける性差別を指摘すると怒ったり、受け入れなかったりするウィキペディアンもいるが、百科事典はそもそも社会の偏見を反映していて、ウィキペディアもそれをそのまま受け継いでいるだけだ。ウィキペディアだけ性差別がないと考えるほうがおかしい。

個人的には、女性のウィキペディアンが少ないことには参入障壁の高さがあると思っている。ウィキペディアには荒らしや編集合戦を防ぐための決まりがたくさんあり、これを守らず突撃すると記事が消されたり、編集した人がブロックされたりすることもある。この参入障壁は性別に関わりなく襲いかかってくるが、一方で女性が女性に関する記事を作ろうとした時、モデルにできる記事がとても少ないということもある。

ウィキペディアには秀逸な記事良質な記事というものがあり、コミュニティが良い記事だと判断したものは良質な記事に、さらにその中でも抜きんでて良いと考えたものは秀逸な記事に選ばれる。

2018年9月24日時点で日本語版ウィキペディアの秀逸な記事になっている83本のうち、女性に関する記事と言えそうなのはアンネ・フランクと、古代ギリシアの巫女の預言に関する詩集『シビュラの託宣』だけだ。良質な記事1381 本の中にはもう少し女性の伝記記事などがあるが、女性が着る衣類や化粧品についての記事は1本もない。これでは、何を模範にして女性についての記事を書けばよいのか、よくわからない。

 

女性執筆者・編集者を増やす努力

もちろん、女性ウィキペディアンが増えたからと言って、女子文化に関する記事がすぐ充実するわけではない。女性だからファッションが好き、化粧に詳しい、などと考えるのは大間違いだ。ケイト・ミドルトンのウェディングドレスについての議論では、削除を支持する女性もいた

かく言う私も、化粧はしないし、ファッションには興味が無いし、ワン・ダイレクションにもウェディングドレスにもできるだけ近付きたくない。

それでも私はフェミニストでウィキペディアンなので、責任感を感じて普段から女性についての記事を作るようにしている。また、私は2015年から英日翻訳ウィキペディアン養成セミナーという授業を実施している。