〔PHOTO〕gettyimages

南北の緊張を氷解させた文在寅大統領の名演説「全訳」

次は米中をどう説得するか、だ

いったい何が起こったのか

先週18日から20日まで、韓国の文在寅大統領が訪朝、北朝鮮の金正恩委員長と3度目の南北首脳会談を行った。首脳会談ばかりか、マスゲームを観たり冷麺を食べたり白頭山に登ったり、いったい何が起こったのだと世界を驚かせた。

私も3日間注視していたが、中でもハイライトと思えたのが、19日に夜に平壌のメーデー・スタジアムで行われた「15万平壌青年へのメッセージ」だった。

そもそも、このメーデー・スタジアム自体が、過去の南北関係を象徴する曰くつきの建造物である。

1988年9月から10月にかけて、ソウル・オリンピックが開催された。北朝鮮はこれに対抗して翌年7月、第13回世界青年学生祭典を平壌で挙行する。そのメイン会場として、1989年のメーデーの日(5月1日)に完成したのが、大同江の中州にある綾羅島(ルルラド)に作ったメーデー・スタジアムなのである。

 

ソウルの蚕室(チャムシル)にあるオリンピック・スタジアムの収容人数が7万人だったことから、その2倍を超える15万人を収容できる巨大スタジアムにした。

もっとも、そんなビッグ・イベントは北朝鮮にはないので、それ以後話題に上ったのは、1995年に行われたアントニオ猪木氏のプロレス興行くらいだ(「金正日の料理人」藤本健二氏は、金正日総書記から「一緒に見に行こう」と誘われたが、テレビに藤本氏が映ってはまずいと周囲に止められたと、私に証言した)。

金正恩夫妻と文在寅夫妻が貴賓席に姿を見せると、会場を埋め尽くした15万人の若者たちが、一斉に歓声を上げ、拍手で迎えた。

〔PHOTO〕gettyimages

まずは金正恩委員長が、あの独特のダミ声で、約3分20秒にわたってスピーチを行った。時折、右手を上げるポーズで、15万人の歓声に応えた。映像から文字起こしすると、発言内容は以下の通りである。

「親愛なる平壌市民の皆さん、マスゲームと芸術公演の素晴らしい舞台を作った青少年、学生、兵役の皆さん、こんばんは。

平壌市の各階層の人民たちが、今日このように意義深い場所に集まり、全員が一つになった格好で、また一つになった心で、文在寅大統領と南側の代表団を温かく熱烈に歓迎することができたのを見て、私は感激するばかりで、溢れんばかりの喜びを表しきれません。

本日、文在寅大統領は、北南関係の発展と平和繁栄の旅程の中で、また一つの新たな道しるべとなる重要な結実を作り出しました。今日のこの貴重な二人三脚の進展のために、平壌を訪問した文在寅大統領の疲れを知らない熱情と努力に、心を込めた感謝の意を表したいと思います。

平壌市民の皆さん、文在寅大統領に対して、いま一度、熱い熱烈なる拍手をお願いします(文在寅大統領が立ち上がってお辞儀する)。

今日、文在寅大統領が、歴史的な平壌での首脳交流と会談を記念して、平壌市民の前で直接、温情深い言葉を述べられることをお知らせします。

今日この瞬間、歴史はやはり素晴らしいキャンバスに、道が描かれるのです。われわれ全員が、文在寅大統領に対して、栄光的な拍手と熱烈な歓呼を送ってあげようではありませんか」

〔PHOTO〕gettyimages

北朝鮮の最高指導者が、このように公の場で、「敵国」であるはずの韓国の大統領を大仰に誉めそやしたのは、建国70周年で初めてのことだった。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら