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安倍3選後の金融正常化シナリオが、「絵に描いた餅」になる可能性

言うは易し…金融正常化への遠い道のり

名実ともに物価至上主義の終焉

予想通り、9月20日に行われた自民党総裁選挙では安倍首相が石破元幹事長を破って3選を果たした。石破氏の善戦は事実にせよ、それは日本の金融市場に注目する海外勢の視野には入っていない。むしろ、金融市場では9月14日の自民党総裁選討論会における安倍首相の発言が耳目を集めた。

大規模な金融緩和に関し、安倍首相は「ずっとやっていいとは全く思っていない」と述べ、出口戦略については「私の任期のうちにやり遂げたい」とかなり踏み込んだ発言を行った。

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2%という目標に関しては「一つの指標として目指していきますが、目的は実体経済、つまり雇用をよくしていくことであって、雇用は相当良くなってきたと思っています。しかし、それと同時に、人手不足に直面している。この人手不足対策をしていかないといけない。その中で外国人人材を今度は大幅に活用していこうということになりました」と語り、「物価よりも雇用」に力点が移っているように見える。

少なくとも、形振り構わず物価上昇を追求するという当初の姿勢は完全に消え失せたと考えられる。

 

どの道、2%は絶望的なのだから(下図)、勝算のない戦いを続けるよりは意味ある構造改革に賭けたいというのは合理的な判断と言え、支持したい。遅きに失した部分もあろうが、後述するように、自身の3選を固めているからこそ出てきた発言とも言えそうである。

なお、こうした首相発言を擁護するように、9月18日の閣議後の記者会見では麻生財務相が2013年4月の黒田総裁就任時点で2%という物価目標について「『2年以内』というのはまず無理ですよ、と(政府と日銀で)お互いに認識していた」という内幕を披露している。

当時、リフレ政策に批判的な言論に対して凄まじいほどのバッシングがあった世相を思い返すと脱力感を覚えるが、やはりそうだったのかという感想を抱く向きも多いだろう。