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ネット銀行、小売業が運営する銀行……台頭する新興勢力の現在と未来

住信SBI銀行はなぜ成功したのか
泉田 良輔 プロフィール

小売業がなぜ銀行を始めるのか

「クラウド型」銀行の将来の姿として、米アマゾンが金融事業に進出できる可能性も考えられる。

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アマゾンは商流を押さえ、効率的な物流機能を持ち、将来的にもより多くの商品が集まるだろう。アマゾンの金融事業への進出可能性は「商品の納入業者へのファイナンスを拡げていく」という可能性だ。

アマゾンの金融事業への進出シナリオが誰にとっての脅威かといえば、卸売業などへの貸出を行っているメガバンクや地方銀行などである。しかし、小売業と金融事業の未来の接点を考える前に、現在の小売業と金融事業の関係を整理しておきたい。日本の小売業と金融業の接点は、基本的には小売業者と消費者との間にある。

イオンの連結営業利益に占める事業別の内訳と総合金融比率を示すデータを見ると、総合金融事業の全体の営業利益に占める比率は30%近くに及び、全社にとってみても重要な事業であるということが言える。また、総合金融事業に不動産事業ともいえるディベロッパー事業を加えた非小売り事業の営業利益に占める比率は50%を超えている。

では、イオンの金融事業の取り組みはどんなものなのか。イオングループで金融事業を担い、イオン銀行も傘下に抱えるイオンフィナンシャルサービス(イオンフィナンシャル)の事業内容を見ていこう。

 

イオンフィナンシャル傘下のイオン銀行は、2016年2月末現在で預金残高が約2.2兆あり、その預金や借入をもとに、国内の住宅ローンやカードショッピング、キャッシング、また海外の無担保ローンなど向けに貸出を行っている

預金残高は住信SBI銀行には及ばないものの、地方銀行でも青森銀行や宮崎銀行、山形銀行程度の預金残高があることになる。

イオンフィナンシャルの収益は主に「クレジット事業」と「海外事業」から得ており、銀行事業そのものの貢献は小さい。つまりイオンフィナンシャルは、銀行業による「調達コスト」の預金を、自社の商品やサービスに関連する商流と結びつけることで、消費者に貸付をするというモデルだ。

イオンフィナンシャルのカード会員のカード取扱額は年間約5兆円あり、同社はカード会員の年間家計消費額を約100兆円と推定し、その決済サービスの利用比率を上げようとしている。イオングループは小売業を中心に消費者との接点を常に持ち、貸付をする機会があり、その機会をさらに拡大しようとしている。

一方、アマゾンも2017年に米国のプライム会員向けのクレジットカード「Amazon Prime Rewards Visa Signature Card」を発表した。アマゾンの買い物で利用すればその5%分の還元があるという内容だ。

イオンカードも買い物の際の割引特典がある。したがって、アマゾンによるクレジットカード利用による割引も突拍子もない動きとは決していえない。商流を押さえ商圏を拡大できるプレーヤー、特に小売業と金融事業との相性がよいという例のひとつである。