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ネット銀行、小売業が運営する銀行……台頭する新興勢力の現在と未来

住信SBI銀行はなぜ成功したのか
泉田 良輔 プロフィール

明暗分かれた2つのネット銀行

ただし、ネット銀行であるからといって必ずしも成功しているわけではない。

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ソニー銀行は01年に営業を開始しており、07年に営業開始した住信SBI銀行は後発である。しかし、11年3月以降、住信SBI銀行がソニー銀行の預金残高を抜いている。00年に営業を開始したネット銀行の最先発であるジャパンネット銀行の16年3月末の預金残高が約6100億円であることを考えれば、住信SBI銀行の取り組みがいかに成功したかがわかる。

ソニー銀行は、営業開始時から「MONEYKit」をリリースし、個人の口座管理や資産運用に軸足を置くことで預金残高を積み上げてきた。ところがネット証券を中心とするSBIホールディングスの展開した住信SBI銀行が大きく追い上げる形になった。

その背景のひとつに、「ネット証券とネット銀行の組み合わせのよさ」があったのではないか。日本の投資の世界では、「貯蓄(預金)から投資へ」(貯蓄から資産形成へ)というスローガンが使われるが、ネットの普及で「預金も有価証券も」ネットでの利用シーンが増えていった。

 

ソニー銀行は07年にソニーバンク証券を設立し、顧客に預金や投資信託に加えて有価証券を提案する体制を整えた。前述のようにSBI陣営は07年に住信SBI銀行の営業を開始している。両社を見るとそれぞれが不足している機能を07年に投入したことになる。

その結果は、SBI陣営は順調に証券口座数を伸ばす一方、ソニー銀行はソニーバンク証券を12年にマネックスグループに売却することとなった。売却時にはソニーバンク証券は営業損失を継続的に計上するような状況であった。

12年以降、住信SBI銀行はソニー銀行との預金残高の差をさらに広げている。このケースでいえば、「ネット証券からネット銀行へ」の展開が正解だったといえる。

さて、住信SBI銀行にとっての次のチャレンジは何になるのだろうか。ネット銀行なので、各サービスで価格競争に勝ち切れるコスト体質が前提になるが、それに加えて、投資機会へのアクセスと、さまざまな利用シーンでの決済機能だろう。特に店舗を持たない「モバイル型」銀行の競争領域は、この2つの機能に絞り込まれていくはずだ。