「日本スゴイ」で失敗し、日中戦争で大復活した新潮社雑誌の興亡史

『新潮45』が歴史を繰り返さぬように
辻田 真佐憲 プロフィール

お題目だけでは意味がない

『日の出』の戦意高揚記事は、当時よく見られたものであって、取り立ててどうという内容ではない。いまさら同社の「戦争責任」なるものをガンガンと打ち鳴らすつもりもない。

問題は今日である。「八紘一宇」や「大東亜共栄圏」がいかに美しい理想でも、実際に資源を収奪したり現地の住民を酷使したりしていたのでは意味がなかった。

1945年3月号『日の出』(国立国会図書館所蔵)

佐藤社長の言葉「良心に背く出版は、殺されてもせぬ事」もまたしかり。今後どのようにこの言葉を踏み行うかが重要なのだ。お題目をツイッターに掲げて、賛同者と飲み会を開いて、それで終わりではない。

話題の『新潮45』は、先行他誌に倣った右翼オピニオン路線にもかかわらず、売り上げが伸びていないという。かつて『日の出』が「日本スゴイ」で失敗したことを思い出さずにはおれない。このまま何らかの「非常時」を待って急回復――とは、さすがにバカげている。

『新潮45』が、『日の出』の二の舞にならないことを期待したい。

【参考文献】
『佐藤義亮伝』新潮社、1953年。
『新潮社七十年』新潮社、1966年。
高崎隆治『新潮社の戦争責任』第三文明社、2003年。※なお、著者の高崎は、『第三文明』に「戸田城聖1940年の決断 軍国教育との不屈の闘い」などをたびたび寄せていた人物であることを付記しておく。創価学会と戦争の関係については、高橋篤史『創価学会秘史』(講談社)も参照されたい。
早川タダノリ『日本スゴイのディストピア』青弓社、2016年。