再統合を目指す六代目山口組でくすぶり出した司派と高山派の暗闘

キーマンは任侠織田代表【溝口敦特別寄稿】
溝口 敦 プロフィール

多数派工作

あるいは読者は不思議に思うかもしれない。仮にも組長である司忍自身が模索している改革案に対して、直参たちが反対を唱えることは許されるのか、と。その通り、親子の盃のときには、「親が黒いものを白いと言っても、子分はそれに従う」といった口上がある。

それは事実だが、現代ヤクザ世界では、だいたいは親子の力関係で決まる。誰が見ても黒いものを白いと言い張るのは難事である。

六代目山口組の場合、買われているのは高山若頭の力量であって、司組長の力量ではない。出身母体である弘道会の中にも「司組長はどうでもいい。わしが孝行を尽くさなければならない相手は高山若頭だ」と広言する幹部は少なくない。「若いころ、高山若頭の世話になった」と思う者は、高山若頭に対してつねに忠節を尽くしたいと願う。

だから、司組長が山口組改革をしたいと思うなら、親子盃の重みだけを頼りにすることはできない。いまだに高山若頭を信奉している者たちを孤立化させ、司派を多数化していく工作がどうしても必要である。

 

言うまでもなく、これは危険を伴う行為になる。失敗すれば、司6代目体制は瓦解しかねない。しかし考えてみれば、来年10月、高山若頭が府中刑務所を出所すれば、嫌も応もなく「司組長引退。次の7代目組長は高山清司に」という機運が盛り上がってくるのは間違いないとみられる。

問題は司組長自身がこうした交代は正しく、適切なことなのかと疑っている点である。司組長は76歳、健康オタクといっていいほど健康である。対して高山若頭は71歳、脊椎が悪く、自立歩行が覚束ないほど健康に不安がある。どちらの余命が長いかといえば、おそらく司組長の方だろうが、それでも高山若頭は7代目組長に就きたいと願っている。

そのために4000万円恐喝事件で最高裁に上告しながら、わざわざ上告を取り下げ、2014年12月に府中刑務所に下獄した。身体で払うべき懲役はさっさっと済まし、出所後は晴れて7代目組長に座ると思った故の決断だったろう。

一度は高山若頭のこうした計画に司組長も賛意を示し、出所後、7代目へと禅譲することを快く承諾したはずである。しかし、高山若頭の服役後、山口組は分裂してしまった。

遠因が高山若頭の恐怖政治にあったことは確かだが、高山の留守中に分裂が起き、自分の在位中に分裂を収拾できないのなら、自分は暗愚な組長として「山口組史」に大きく汚点を残すことになる。なんとしても自分の手で分裂を収拾したい。出所する高山若頭の手を煩わせたくない。