まるで巨大な赤ん坊…中国人が北欧で起こした「外交問題級わがまま」

官製メディアも悪乗り扇動したが…
古畑 康雄 プロフィール

事実が判明、世論が逆転

こうした動画や真実が明るみに出たことで、中国の世論の風向きは一転した。

「この動画を見て、誰も彼らに同情しなくなった」「曾は警察がぶつかってもいないのに自分から倒れ、大声で泣き叫んだ。これは『碰瓷』ではないか?」
「碰瓷」とは「当たり屋」、つまり故意に人や車にぶつかり,身体や物を壊した代償を請求する犯罪行為のことだ。
「碰瓷」とは「陶磁器にぶつかる」の意味で、もともとは清朝時代、安物の陶磁器を手に持ち、わざと通行人とぶつかって破損させ、高級品だったとして金を要求したことから生まれた言葉だという。

中国の地方都市などでは、車に向かってわざとぶつかり、賠償を請求する違法行為が頻発しているという。

微信にはこの事件に関する非常に多くの文章が掲載されたが、このうちの1つは、スウェーデンに住む中国人の次のような話を伝えている。

「(1)このホテルは午後3時がチェックインなのに、曾一家は深夜に到着し、ホテル側が満室だと言ったことに不満を持ち、騒いだ」

「(2)曾はロビーで休ませてほしいと言ったが、このホテルは若者向けの宿でスペースがないため断ったが曾は言うことを聞かず、ホテルは警察に通報した」

「(3)警察にも従わず、大声で叫び、近所の住民にも影響を与えたので、警察はやむなく彼らを連れ去った」

そして「曾は自らの行いに問題があるのに、事実を誇張し、メディアをミスリードし、外交部門に厳しい対応を取らせた結果、中国人のメンツをつぶし、中国の観光客がますます歓迎されなくなった」

別の中国人もラジオ・フリー・アジア(RFA)に「現地の大部分の中国人は恥ずかしい思いをしている」「本当に恥ずかしい。中国人はどうしてみんなこうなのだろう。こんな卑劣な振る舞いをするなんて、海外で暮らす中国人はこれからどうやって暮らしたらいいのか?」という現地の中国人の発言を紹介。

さらにスウェーデンに30年暮らし、法律関係の翻訳をしているという女性の次のような意見を伝えている。

「スウェーデンのあらゆる商業施設は民間企業であり、経営者は顧客に立ち去るよう求める権利がある。若者向けホテルでも、レストランでも、もしあなたが立ち去る理由があるのにそれを拒んだら、経営者の権益を侵害したことになる。なぜならそこはその人の所有地だからで、警察に処理を任せることになる」

中国のホテルでは確かに、宿泊客でもない一般人が夏場などロビーで涼んでいる姿を見かける。同じような発想で一晩明かそうとしたのかもしれないが、異国に自分たちのやり方を持ち込もうとしたことに問題があった。

 

「スウェーデンだからよかったが……」

また微信に掲載された文章では、「海外に行ったら現地の規則やマナーに従うべきで、自分の側にルール違反があるのに、反省もせず、『中国人を侮辱した』などと騒ぎ、泣きわめくのは、まさに巨嬰症であり、国に恥を持ち帰るものだ。今回曾一家は運が良かった、北欧国家だったから『心が傷つけられた』程度ですんだが、もしビザが免除される『冒険の旅』の国(アフリカなど)や『戦闘的民族』のロシアだったら、本当に墓場送りになっていたかもしれない」という辛辣な批評もあった。

米メディアによると、スウェーデンの検察当局は事件が報じられる以前の7日、警察官の行動に問題はなかったとして事件に対する調査を終了したと発表。「(顧客が)秩序を乱す行為をしたことへの通常の対応だ」と現地紙にコメントしたという。

「当たり屋と泣きわめき、相次ぐ嘘! 中国人のメンツは彼らによってスウェーデンで台無しになった!」という文章は、「曾一家は中国国内の資質の低さを集大成した」として高速鉄道の事件を引用しながら、次のように厳しく指摘している。

「第1に、自分は弱者だから理があるともっともらしい主張をして、他人の利益を犠牲にした。こうした人は、自分が金を出せば解決するコストを、常に他人に転嫁しようとする」

「第2に、一旦ルールが自分に不利になるや、すぐに駄々をこねて大声で騒ぎ、当たり屋をやって金品をゆすろうとする。高速鉄道で他人の席を占拠した男も、発車の時刻なのに夫がまだ来ないとドアにしがみついて発車を遅らせた女教師(今年1月に安徽省で起きた事件)たちもそうで、騒げば得をすると考えている」

「第3に、民衆の愛国の感情を利用し、いざこざを起こす。1人の中国人が海外で劣悪な印象を与えれば、他の多くの中国人がその埋め合わせをさせられる。普通の人々の愛国の思いを台無しにし、同胞の国際的なイメージを深刻に傷つけた」