2018年において、保守論壇をめぐる主要なトピックに、「ネトウヨ春の/夏のBAN祭り」があります。
これは、匿名掲示板「5ch」のカテゴリーの一つである「なんでも実況(ジュピター)」(通称:なんJ)の住人が、韓国や在日コリアンへの差別的な書き込みが多い「ハングル板」に突撃して主導権を乗っ取り、YouTubeのヘイトスピーチを含む動画を次々に通報してチャンネルを凍結させてしまおうとする「祭り」です。
実際、この「祭り」において、KAZUYAや竹田恒泰を含む多くの保守系チャンネルが閉鎖に追い込まれています。
またこの動きと同時期には、プリンター大手のセイコーエプソンが、利用者からの「有名なヘイトスピーチサイトである「保守速報」に貴社の広告が掲載されている」という指摘に対して、同社はすぐさま広告代理店を通じて同サイトへの広告の配信を停止するということもありました(参照「『保守速報』への広告停止 エプソン販売『社内規定に反する』と即日対応」)。
このように、YouTubeやネット広告といった収入源になっているものを断つような、いわば「兵糧攻め」の動きが見られてきています。
もちろんYouTubeの動画の規制を決めるのはYouTubeを運営しているGoogleですし、またネット広告の停止を決めるのは、最終的には広告主の判断であることを忘れてはなりません。
これらの動きは、ヘイトスピーチに荷担することがブランドイメージへの毀損につながるという考えが浸透してきたからだと言うことができます。
しかし、左派や高年齢層への敵愾心によって「つながっている」層は、そのような動きに対して、むしろ態度をこわばらせているようにも見えます。
「『リベラル』こそが守旧派、現政権こそ真のリベラルである」という主張は、現政権を支持する文化人によってよく語られます。
これらの動きは、「本当は『リベラル』という価値観は好かれているが、『日本リベラル』はその条件を満たしていない守旧派である」という考えが支持されているから、というよりも、むしろ相手の実存を攻撃することによって、敵愾心によって仲間内のつながりと支配を強化する「あがき」と言った方が正しいでしょう。
そして現政権もまた、そのような支持者――自分は「頼りになるリベラルがいないから仕方なく支持している」と言うが、実際には左派へのマウンティング欲求を満たすために支持していると見られる――によって支えられているのです。