「保守論壇」はなぜ過激化するのか?「新潮45」問題から見えたこと

「被害者意識」でつながる論理
後藤 和智 プロフィール

「鉄砲玉」としての女性論客とYouTuber

もう一つは、三浦や杉田などが、保守論壇の「鉄砲玉」として使われているという可能性です。

女性や若い世代に過激な主張をさせることにより、それに対して批判が起こっているという事象を取り上げて、「保守論壇の若手による過激な主張への批判=守旧派の主張」という、世代間闘争の構図を強化する構造が見て取れるのです。

2000年代から現在に至るまで、女性のジャーナリストやライターが、保守雑誌においてメインストリームの主張をカリカチュアライズした現代社会批判などを行うようなことはいくつか見られました。

例えば「諸君!」2004年5月号の特集「ポイ捨て 日本国憲法」において、細川珠生による「日本国憲法サン、60歳定年ですよ」という論考を掲載し、細川が問題視する現代社会の風潮を「憲法」のせいにするということが展開されていました。

そのほかにもこの手の物書きとしては、大高未貴や、近年なら元官僚の山口真由などがあげられます。

 

また近年ではネット上で保守系の言論を展開しているYouTuberが、保守系マスコミに登場する事例も見られます。

例えば、「週刊新潮」は2017年頃から保守系の人気YouTuberのKAZUYAの連載を始めているのがそれにあたります。

さらにもう一人あげるとすれば、「古事記アーティスト」を自称する歌手・コメンテーターの吉木誉絵でしょうか。

吉木は若い世代の論客として、「朝まで生テレビ!」「ビートたけしのTVタックル」などに出ていますが、皇族の系統であることを自称することで売ってきた竹田恒泰が主催する勉強会「竹田研究会」の出身者であることを隠していません。

吉木は自衛隊の幹部学校に期限付きではありますが「客員研究員」として呼ばれるほどの「実力者」です。(参照「自衛隊の危機 01―なぜ、ネトウヨの浸透を許しているのか―」)

若い世代における自民党の支持率が高いことで、左派論客において若い世代への不信が少なからずある(私は過去に「現代ビジネス」の論考で書いたとおり、これについては少なからず過剰に煽られている側面があると思います)状況において、特に若い世代を保守論壇に「囲い込む」ことで若い世代に自分たちの論理が支持されているとする手法は今後も続くでしょう。

しかしその「成功」は、「左派=高齢者・守旧派」と規定する行為に支えられた、もろいものと言うほかありません。