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わずかひと月足らずでスマホゲーム依存になった息子の悲劇

息子がゲーム依存症になってしまった②

「ゲーム依存症」、あるいは「ゲーム障害」とは、日常生活が破綻するほど、持続的、反復的にゲームにのめり込んでしまうことを指す。今年6月18日、WHO(世界保健機構)は、この「ゲーム依存症」を精神疾患として正式に認定した。

患者には未成年が多く含まれており、既に「オンラインゲーム依存症」が社会問題化している中国や、タイ、ベトナム、韓国などではプレイ時間が規制されているが、日本ではいまだなんの規制もない。

今世紀に入ってから、人間の生活を劇的に便利にしたスマホ——その中に潜んでいた悪魔に一人息子を虜にされてしまったライターが、あまりにこの疾患にたいして無防備な日本社会に警鐘を鳴らすため、現在進行形で続く「ゲーム依存症」との戦いをレポートする第二弾。

(第一回はこちらから→https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57378

スマホは手の中の底なし沼だ

ゲーム依存症は誰でもかかる可能性がある病気と言われている。

では、人はどんなときにゲーム依存症になるのだろうか。

 

いくつかパターンがあるなかで、「スマホやゲームを初めて手にしたとき」は、「家族の会」でもよく聞くケースだ。息子の場合もそうだったのかもしれない。

息子にスマートフォンを買ったのは、大学入学を間近に控えた3月上旬だった。高校からはガラケーよりスマホを使う友だちが圧倒的に増えたものの、受験勉強の妨げにならないように、高校生の間は我慢させて、大学の合格祝いに買う約束をしていた。

その甲斐あってか、息子の学力からすれば「がんばって合格した」と言える大学になんとか受かった。本人もやり切った感はあったようで、親としてもひと安心。親子共々喜んだことは言うまでもない。

それもつかの間、入る大学が決まった途端、ことあるごとに息子は「早くスマホを買ってほしい」と執拗にせっつき始めた。合格したのだから買え、と言うのはいいのだけれど、ほかのものとは明らかに要求の激しさが違っていた。

いま思うと、もし依存症についてちゃんと知っていたなら、このときにもっと注意深くなっていたかもしれない。少なくとも、息子にとってスマホが「特別な何か」であるとは感られた。

ご存じのとおり、スマホはとても大きな買いものだ。加えて家族そろって買い替える予定だったので、じっくり時間をかけて選びたかったけれど、息子のしつこさに負けて要求どおりiPhoneを買い与えることにした。これも失敗の元だったかもしれない。

というのも、iPhoneとAndroidでは親(第三者)による使用時間の制限のしやすさがだいぶ違う。iPhoneにはペアレンタルコントロールという機能が最初からついている。とはいえ、この設定には端末自体を操作する必要がある。これでは端末を親に渡すのを子どもが拒んだ時点でお手上げになってしまう。

一方、Androidには端末を操作せずに時間を管理するアプリがそろっている。だから、これからお子さんにスマホを与えるという人には、個人的にはAndroidにすることをおすすめしたい。息子の場合は、大学生にもなって親がスマホの時間を管理するはいかがなものかというアタマもあり、結局、iPhoneにした。

で、スマホを手にした息子は、朝起きてから夜寝るまでずっとスマホゲームで遊び始めた。高校3年生のラスト1ヵ月なんて、やらなきゃいけないことなど何もない。ある意味、人生でいちばんヒマな期間だろう。あり余るその時間を使って、食事の時間もトイレの中でも息子はスマホでゲームをやっていた。

最初は食事中にゲームをしないように注意した。

「食事のときぐらいゲームをやめたら?」

家族そろって家でご飯を食べるときぐらいはスマホを使わないように言ってあったし、息子ははっと我に戻ったような顔をして、「そうだね」と言ってすぐにスマホを脇においた。

だが、素直にやめたのは初めのうちだけだった。数日後、またゲームをやりながら食べ始めたので、

「食事中だよね。ゲームをやめたら?」

と注意をすると、

「いまゲームの途中だからちょっと待って」

と言ったものの、全然やめようとしない。茶碗の手前にスマホを置いてしょっちゅう操作を繰り返している。ご飯の間にゲームをやるのではなく、もはやゲームの間にご飯を食べていた。

「そんなにゲームをやっていたら、味なんてわからないんじゃない?」

少し呆れて言った。すると、「わかるよ」と不機嫌に言う。もちろん、その間もゲームをしている。

「ゲームをやめてご飯を食べてよ」

続けて注意をすると、その後は

「は? なんで? 別にいいじゃん」

としか言わなくなってしまった。そのまま注意しても険悪になるだけだったし、結局、食事の間もゲームをやりつづけることになってしまった。

ただ、こんな状況になっても、楽しいのは最初のうちだけ。そのうち飽きて大学が始まればまた変わるだろうと私は思っていた。

ところが、これが大きな間違いだった。まず、スマホゲームには飽きるということがない

依存症の人にとって、スマホは本当に手の中の底なし沼だと思う。

もし、ご自分のお子さんにスマホゲーム依存症になりそうな兆しがあったら、いつか飽きるだろうといって様子を見ることは絶対にしないでください