奄美の海底にミステリーサークル出現! 生命科学者が「謎」を解く

図面もなしで美しい模様を描く秘密
近藤 滋 プロフィール
浅い溝を掘る場合図13 浅い溝を掘る場合

浅い溝は狭いため、舞い上がった砂のほとんどは隣の溝に落ちて、側面を流れ落ちる。そのため、溝の最深部が上図のように移動することで、結果として、狭かった溝と溝の間隔が広くなり、等間隔になっていくのである。

フグがすべての溝を、ランダムに掘削し続ければ、すべての溝の間隔が、同じになっていくはず。考えてみれば、当たり前の理屈だ。

また、この原理だと、溝の幅は、フグの体の大きさ(幅)と、砂が横方向に飛ぶ距離に依存するはずである。

完成したサークルの「その後」

以上のように、海底のミステリーサークル作りにおける謎の一つは解けた。この成果は、Scientific Reports誌(フリーアクセス)に8月17日に掲載されたので、興味を持たれた方は、是非読んでいただけると幸いです。かわいいフグのサークル形成過程のビデオも楽しめます。
https://www.nature.com/articles/s41598-018-30857-0

さて、最後に、首尾よくメスを迎えて卵を受精させることに成功した後、そのフグのオスがどんな行動をとるか解説して、このコラムを終えることにしよう。

川瀬氏の研究によれば、優秀な(あるいは立派なサークルを作った?)オスは、別のメスを次々に迎え入れて、産卵させることに成功する。

一見、一夫多妻のようだが、メスの方も、別のオスとまた産卵する可能性があるので、結局のところ複婚と考えられている。

産卵が済むと、オスはサークルのメンテを放棄するため、巣の外側に並ぶ放射状構造は、崩壊の一途をたどる。しかし、孵化するまでは中央の産卵床にとどまり、卵を守り続ける。卵が孵化すると、巣は用済みとなり、フグも去っていく。

同じところでサークル再建はしない。過去の思い出は捨てるのである。なかなか男前な潔いフグなのである。

著者ブログより転載)