奄美の海底にミステリーサークル出現! 生命科学者が「謎」を解く

図面もなしで美しい模様を描く秘密
近藤 滋 プロフィール

法則性はどこにある?

何かヒントはないかと思ってビデオを注意深く見ていると、どうやら、掘削開始地点がキーになっているのではないかと気が付いた。フグは、砂の形状が「山」になっているところを嫌い、「谷」になっている地点から掘り始めやすい、とデータに出ていた。

それならば、ということで、「低い場所の方が掘削開始地点になりやすい」という条件を入れてシミュレーションしたのが下の図。

低い地点で掘削を開始すると仮定した場合図10 低い地点で掘削を開始すると仮定した場合

この条件だと、最初はめちゃくちゃだが、次第に溝と峰がはっきりと見え出し、結構等間隔っぽい放射パターンが出ることが解った。

これは良さそうだ。実際のサークルと比較するために、上のシミュレーション結果で、黄色いリングの円周上の深さをグラフにし、実際のフグのサークルと比較すると下の図のようになる。

溝の断面図をシミュレーションと実際の巣で比較図11 溝の断面図をシミュレーションと実際の巣で比較

結構似た感じである。あいまいなパラメーターで掘っても、ちゃんとした放射パターンができるのである。

いよいよ謎を解く

さて、こんなに精度の低い掘削を繰り返すだけで、なぜ、等間隔のパターンができてくるのか?

シミュレーションでそうなった、というだけでは納得しがたいので、以下に簡単に説明する。

深い溝を掘る場合図12 深い溝を掘る場合

上図は、溝の断面を正面から描いたもの。フグが、すでに出来上がっている深い溝を掘削する場合である。

深い溝は、幅も広い。だから、舞い上がった砂は、ほとんど同じ溝の中に落ちる。落ちた砂は溝側面の斜面を滑り落ちるため、それ以上深くはならない。つまり、できあがった溝を掘っても、溝のパターンに変化はおきない。

一方、浅い溝を掘る場合は、以下のようになる。