奄美の海底にミステリーサークル出現! 生命科学者が「謎」を解く

図面もなしで美しい模様を描く秘密
近藤 滋 プロフィール

掘削行動をデータ化したら…

とりあえず、2)の工程の一回ごとの掘削行動を、データ化し、統計を取るところから始めた。

まず、斜めから撮影した画像を(真上からは撮影できない)、真上からの像に変換しなくてはならない。けっこう難しかったが、画像変換のプロがいたために、何とか成功。

 

次に、変換したビデオから、一回ごとの溝掘削を抽出してデータ化した。フグは、ほとんどの場合、外から内に向いて、直線的に溝を掘る。

だから、フグの掘削行動は、(1)掘削開始の位置(2)掘削の方向(3)掘削の長さ、の3つの数値で表現できる。

フグの溝掘削のパラメータ表現図6 フグの溝掘削のパラメータ表現

その結果をまとめヒストグラム化したものが下図である。

ヒストグラム図7

一見して、正確な土木工事とは言い難い。掘る長さもまちまちだし、特に重要な掘削の方向も、工事の初期には、かなりいい加減なのだ。

統計データを見ると、初期(青のヒストグラム)において、ものすごくばらつきが大きいのが解る。標準偏差が0.28ラジアン(16度くらい)もある。

試しに、サークル形成初期における連続20回の掘削をトレースすると、このようになる。

連続20回の掘削行動の軌跡図8 連続20回の掘削行動の軌跡

これでは、掘削角度も、長さも、ばらばらすぎて、到底きれいなパターンになる気がしない。実際に、このばらつき具合を正確に取り込んだシミュレーションをしてみると、以下のようになる。

サークル形成をシミュレート図9 測定したばらつきを基にサークル形成をシミュレート

当然まともなパターンは出ない。

パターンを出すには、他の情報が必要である。