そのドキドキ、本当に大丈夫? あなたの命を削る「心房細動」の秘密

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どうやって治すの? 治療方針と治療法

では、心房細動はどのように治療していくのでしょうか?

心房細動には、年齢や症状、進行度に応じて向いている治療、向いていない治療があり、だれもが同じ治療法でよいというわけではありません。また、高齢で軽症ならば体に侵襲のある治療は避けたいという希望もあるでしょう。主治医と相談しながら、治療方針を決めていきます。

治療法としては、薬による治療と、薬以外の方法による治療があります。

薬による治療は、血液を固まりにくくする抗凝固薬で血液をサラサラにして血栓をできにくくする〈抗凝固療法〉、心拍数を抑える薬で心房の異常を心室に伝えにくくすることで動悸を抑える〈レートコントロール〉、抗不整脈薬で心拍のリズムを取り戻す〈リズムコントロール〉などがあります

薬以外の方法として代表的なのは〈カテーテルアブレーション〉です。心房の異常な電気信号の多くは、左心房に通じている肺静脈内でおこることが多いのですが、肺静脈の左心房への入り口付近の組織を焼くことで、肺静脈内にある異常な信号の発生源と電気的に絶縁し、心房の異常な興奮が起きないようにする方法です。

成功すると心房細動は起きなくなる、根治を目指した治療法です。90%近くの人が成功しますが、残念ながら限界もあります。とくに慢性心房細動に進行した場合は40~50%程度に落ち込みます。

進行していても、複数回の治療で治まる場合もあるので、医師とよく相談するようにしましょう。

〈カテーテルアブレーション〉、薬物治療については、副作用の件もあわせて、『不整脈・心房細動がわかる本』で詳しく取り扱いました。

  目的に応じた手段を選択する治療法(『不整脈・心房細動がわかる本』より)

自分でできる対策ってある?

心房細動の患者さんに生活習慣の問題があることは申し上げましたが、生活習慣を改善し健康を維持することは、心房細動の発作を起こしにくくするので、ぜひ気をつけていただきたいと思います。

発作性心房細動は、根治の可能性が高いにもかかわらず、発作の頻度が低いため心電図検査でも見過ごされやすい一面があります。日々の検脈で脈の乱れがみられるようなら、循環器内科を受診して詳しい検査を受けておきましょう。

検脈を続けることで、心房細動以外の不整脈が見つかることもあります。心臓の健康状態を把握する一助になりますので、ぜひ習慣にしてほしいと思います。最近では、スマートフォン・アプリによる脈拍計もありますので、利用するのもよいでしょう。

【表(一覧)】脈の測り方
  脈拍チェック〈検脈〉の方法(参考『不整脈・心房細動がわかる本』)

不整脈・心房細動がわかる本』では、心房細動をはじめ、期外収縮など、不整脈の各タイプについて、イラストやチャート図などをたくさん使って、詳しくご説明しています。不整脈かな、最近心臓がどきどきするな、などと心配されている方の疑問に応える一冊となっています。

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不整脈・心房細動がわかる本
脈の乱れが気になる人へ

【書影】不整脈・心房細動がわかる本

山根 禎一 監修

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「不整脈がある」といっても、その実態はさまざまです。なんの心配もいらないタイプもあれば、見過ごすのは危険なタイプもあります。不整脈がある人は、まずは自分の不整脈のタイプ・種類を知り、心臓になにが起きているのか、放置することでなにが起こりうるのかを理解した上で、適切な対応のしかたを考えることが大切です。

本書では進行性の心房細動から心配のない期外収縮まで、様々なタイプの不整脈について「ベストな対応、ベストな選択」ができるように、正しい基礎知識から最新治療までをイラスト図解でわかりやすく紹介します。