「中間」を制する!あなたが劇的に成果をあげる「時間帯」がわかった

時間生物学の教える「最適タイミング」
ダニエル・ピンク プロフィール

「一気に集中して変化が生じ、チームは古いパターンを捨て去り、外部の監督者とかかわりを持ち、業務に新たな展望を取り入れ、目を見張るほどの進化を遂げた」

3チームはそれぞれ、スタート後の不活発な停滞期を経て、計画を実行に移し、納期に向かって全力で突き進んだのである。

銀行チームは「34日間のスケジュールの17日目」、病院チームは「12週間のスケジュールの6週間目」。つまり突然の変化が起きたのは、最初の打ち合わせと最終納期の「中間地点」だった。

「おっと大変だ効果」

折り返し地点で「もう時間がない」と気づいて切迫感が生まれ、プロジェクトの達成戦略を練り直し、ゴールに向かって一気に突き進む。これを私は「おっと大変だ効果」と呼んでいる。

中間地点に達すると、「もう半分も時間をムダにしてしまった」という適度なストレスが生じ、「おっと、もうあまり時間がないぞ」というモチベーションを呼び覚まし、戦略を立て直すように促すのだ。

ガーシックは、MBAの学生を8グループにわけて「1時間でラジオCMをつくる」という課題を出す調査も行っている。

同調査ではプロジェクト開始から28分から31分の時点で、各グループが「おっと大変だ」的コメント(「もう半分しかない」「おい、まずいぞ」)を残していることがわかっている。

また、8グループ中6グループが、「もっとも顕著な進展」を中間地点で一挙に遂げていた。

バスケットボールの逆転劇には秘密があった

スポーツのハーフタイムも中間地点の一種である。

ただしスポーツのハーフタイムは人生のハーフタイムより、置かれた状況がリアルにわかる。リードされているチームは、「後半で挽回しないと負ける」という厳しい数学的現実に直面する。

ペンシルベニア大学のジョナ・バーガーとシカゴ大学のデヴィン・ホープがNBAの15年にわたる1万8000試合について、ハーフタイム時のスコアに注目して分析・研究した。

すると、ハーフタイムに6点リードしていたチームが勝つ確率は80%。分析の結果、最初にリードしていたチームのほうが有利だとわかった。

ところがひとつ、例外があった。ハーフタイムに「1点だけ」リードされていたチームは、58%強の確率で、逆転勝利していたのだ。

バーガーとホープはNCAAの10年分にあたる4万6000試合についても同様の分析を行ったが、ほぼ同じ結果を得ている。中間地点に僅差で負けているチームは、ハーフタイム直後に過剰なほどの点を入れるのである。

「中だるみ」を回避する3つの方法

人間の幸福度は50代で最低になるという調査結果もあり、私たちは「中だるみ」という生物学的宿命を負って生きている。

チームの中だるみは、多くの人が体験しているだろう。それならば、「おっと大変だ効果」をより効果的にすべく、次の3つのアイデアをためしてほしい。

1、 中間目標を設定する。

大きなプロジェクトを小さなステップに分けるといい。

無料航空券を目指してマイルを貯める「マイラー」は、目標マイルの中盤で停滞することがわかっている。それなら3万マイル貯めたい人は、1万マイルという目標を3回達成したほうが良い。

2、中間目標を公約する。

誰かに言うことで生じる責任とプレッシャーを利用する。ツイートやフェイスブックで公言しても良い。

3、中途半端なところであえて止める。

アーネスト・ヘミングウェイは節や段落でなく区切りの悪い文章の途中で筆をおき、翌日の執筆活動につなげていた。

これは「完了した課題より未完の課題をよく覚えている」というツァイガルニク効果を利用したものだ。

When
  『When 完璧なタイミングを科学する』ダニエル・ピンク 著 勝間和代 翻訳 講談社