「史上最年少・女性・元ウェイター」左翼議員はオバマの後継者になるか

トランプ現象のもう一つの側面
海野 素央 プロフィール

さらに、不平・不満を抱きつつもこれまで選挙に行かなかった有権者を鼓舞し、投票に行くよう促した点も指摘できます。実は、第14選挙区は予備選挙の投票率が通常3%程度と、きわめて投票率・政治参加意識の低い選挙区です。それが今回は、約13%まで上昇したのです。

 

「左翼のトランプ」が生まれるのか

オカシオ=コルテス候補の鮮やかな登場劇は、11月に控える中間選挙、そして2020年の大統領選挙にどのような影響を与えるでしょうか。

ご存知の通り、08年の米大統領選挙では「イエス・ウィ・キャン(そうだ。我々にはできるんだ)」のスローガンを掲げたリベラル派のオバマ候補(当時)が大旋風を巻き起こし、当選しました。その反動で、10年の米中間選挙では反オバマ色の強い保守派市民運動「ティーパーティー(茶会)」が台頭し、リベラルから保守へ振り子を戻そうという意識が有権者の中に芽生えました。

思うに、今回の中間選挙では、この時とちょうど逆の現象が起こりつつあります。16年の米大統領選挙で、極右に支えられたトランプ大統領が誕生しました。その反動で、リベラル(極左、と言ってもいいかもしれません)に振り子を戻す動きが見て取れます。

いまや、民主党支持者の最大のモチベーターはトランプ大統領です。過激なトランプ大統領に対抗するために、民主党内もどんどん左へと振れてゆきます。そうした状況の中で、「民主社会主義者」を公言するオカシオ=コルテス候補が熱狂的支持を得ているのでしょう。

この傾向が今後いっそう強まるとすれば、2020年の米大統領選挙で登場してくる民主党の大統領候補は、クリントン氏のような中道エスタブリッシュメント(支配階級出身)の人物ではなく、極左思想を持ち、反エスタブリッシュメントのスローガンを掲げる人物となるでしょう。

「トランプ現象」と「オカシオ=コルテス現象」は、深まる米国社会の分断を映し出した「合わせ鏡」なのかもしれません。