「史上最年少・女性・元ウェイター」左翼議員はオバマの後継者になるか

トランプ現象のもう一つの側面
海野 素央 プロフィール

勝利のカギは「私のような人々」

選挙スタッフを伴って集会に登場したオカシオ=コルテス候補に、さっそく、「予備選挙で、現職ベテラン議員を破った要因は何だったと思いますか」と質問してみました。アポイントメントをとっていなかったにもかかわらず、彼女は笑顔を見せながら快く応じてくれました。

「私は2カ国語を話します。英語とスペイン語です。なので、私のように多言語を話す有権者をターゲットにしたんです。たとえば英語とスペイン語、英語と中国語というように。そしてもうひとつは、若い世代を巻き込んだことです」

2008年と2012年の米大統領選挙において、筆者は研究の一環としてオバマ陣営に参加しました。オカシオ=コルテス候補の選挙戦略は、「言語を意識している」「若者の組織化」という点で、オバマ陣営と共通しています。

バラク・オバマ前大統領と同様、コミュニティ・オーガナイザー(社会福祉活動家)として活動経験があるオカシオ候補は、オバマ陣営の選挙戦略を研究したのでしょう。ただ、筆者が見たところ、大統領選当時のオバマ陣営はどちらかというと、市民権があり母語のみを話す有権者の掘り起こしに時間を割いていました。

 

「ツイッターとフェイスブックを活用しました」

どのようにして若者を巻き込んだのかについて、オカシオ=コルテス候補は、そう端的に答えました。今日の米国における選挙では、ツイッターとフェイスブックがいわゆる「空中戦」の不可欠な柱となっていますが、このSNS重視という点もオバマ陣営と似ています。

また、彼女が掲げる民主社会主義の考え方について触れると、オカシオ候補は特に重点的に取り組んでいるという移民・関税捜査局(ICE:
Immigaration and Customs Enforcement)の問題について言及しました。

「民主社会主義者は教育、医療保険、住宅問題に焦点を当てます。ICEは廃止するべきです。ICEは人権を侵しています。親と子供を引き離しているからです」

トランプ政権下でのICEは、不法入国した家族の親と子供を引き離して収容するという施策を遂行しています。トランプ大統領は、ICEの職員を「勇敢だ」と繰り返し称賛しています。

民主党予備選挙の直前、オカシオ候補はテキサス州南部にある不法移民収容センターを訪問し、親子分離政策を遂行するICEに抗議を行いました。トランプ大統領は、野党民主党の移民政策について「民主党は国境を開放するつもりだ」「やつらは犯罪を容認するのだ」などと、自身のツイッターや集会で強調しています。

国境管理と不法移民の問題は、民主党と共和党の考え方の違いがもっとも先鋭的に現れる論点です。オカシオ=コルテス候補は、「人権第一」を掲げて、マイノリティの出自を持つ有権者にアピールしていると言えるでしょう。

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「二級市民」

オカシオ=コルテス候補の「人権第一主義」へのこだわりは、反親子分離政策のみではありません。

9月16日にはCNNの政治番組に登場し、昨年9月にプエルトリコを襲ったハリケーン「マリア」に対するトランプ大統領の対応を攻撃しました(なお、ちょうどこの番組の放映時、アメリカ東海岸をハリケーン「フローレンス」が直撃し、甚大な被害を出していました)。オカシオ=コルテス候補は「マリアがプエルトリコを襲った後、私の祖父が亡くなりました」「プエルトリコの人々は、まるで『二級市民』のように扱われている」と非難したのです。