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設備投資が「画期的な改善」日本経済ようやく明るい兆しが見えてきた

では、株と雇用はどうなる?

日本経済にとって「いい話」

9月10日に発表された4-6月期のGDP統計(2次速報値)では、1次速報と比較して設備投資が上方修正された結果、実質GDP全体の成長率も前期比年率換算で3.0%となった(一次速報値は1.9%)。ちなみに実質設備投資は前期比で1.3%から3.1%に上方修正された。

実質設備投資の動きをみると、2013年4-6月期より既に回復基調に入っていたが、2016年に一旦、ピークアウトから減速に転じていた。これが2017年に再び増加に転じて以降は、ほぼコンスタントに3%強の伸び率を維持していた。それが今回(2018年4-6月期)は前年比で6.4%と加速した。

これは大変喜ばしいことであるのは間違いない。経済指標をみる限り、日本経済は、雇用関連と輸出を除けば、いまひとつ回復感に乏しかった。だが、これに設備投資が加わるとなると非常に頼もしい。これによって、日本経済の先行きに対し、強気の見方が増え、これによって株価も年末にかけて高騰するという強気の見方も増えてきたようにも思える。

 

筆者は、現在の日本の株価水準(日経平均株価でいえば、22500円から23000円程度)は日本のマクロ経済の状況にマッチした水準だと考えており、まだ、それを上にブレークするようなポジティブな動きが今回の設備投資の結果として出てきたわけではないと思うので、強気の見方には懐疑的である。だが、とりあえず、それは忘れて、「いい話」を続けよう。

確かに設備投資環境をみると、日本経済の将来に対し、明るい材料が見えてきたのは事実である。図表1は、1994年から直近(2018年4-6月期)までの「資本ストック循環」を示したものである。

この「資本ストック循環」の図は、縦軸に実質設備投資の前年比伸び率(ここではGDP統計を用いている)、横軸に(1期前の)設備投資・資本ストック比率をとり、両者の関係の推移をみたものである(「資本ストック」は現存し稼動している設備等、設備投資はその期に行った減価償却控除後の設備のネットの増分と考えればよいだろう)。

企業は将来の収益環境がどの程度のペースで拡大していくかを予想しながら設備投資の意思決定を行うものと考えられる。従って、資本ストックの動きには企業が想定する「期待成長率」がビルトインされているはずである。

また、一般的には、期待成長率は大きく変化するものではないため、資本ストックは「循環」的な動きをすることが多い。これを「資本ストック循環」の図(図表1)で示すと、右下がりの点線を「軸」にして時計回りに回るイメージとなる。そして、この「軸」の位置から企業が想定している期待成長率の水準がおおよそわかる。

ちなみに1994年から2012年までの時期は、この「期待成長率の軸」の違いから2つの局面に分類される。つまり、この資本ストック循環の図からは、1994年から2003年にかけての期待成長率は約0.5%程度、2004年から2012年にかけてはほぼ0%の期待成長率が続くという前提で企業は設備投資を行っていたことが推測される。

どちらにせよ、日本企業は、デフレによる長期的な停滞を前提とした設備投資をせざるを得なかったと考えるが、それでもITバブル崩壊後の2004年以降はさらに企業のデフレマインドが強化され、期待成長率が0.5%から0%へ下方修正された可能性がある。

ところが2013年以降(ただし、2013、14年はその前の循環に含めることも可能であるが)、資本ストック循環のパターンはそれ以前とは明らかに異なる様相を呈している。図表1をみると、ここ数年は、「循環」をせずに、右に平行移動しているようにみえる。

この動きは、前述の「期待成長率の軸」自体が右に移動していること、言い換えれば、連続的に企業の期待成長率が上方修正されていることを意味する。

この一連の動きは、企業のデフレマインドが徐々に払拭されつつあることを示唆している。図表1をみる限り、企業のデフレ観は一気に払拭されるのではなく、緩やかに、しかも、連続的に払拭されている可能性が高い。

2013年以降、資本ストックは「循環的」に動いていないため、厳密ではないが、現状は、1.5%程度近くまでは上昇しているのではなかろうか。

 
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