口臭が原因で転落したエリートビジネスマンの悲劇

『歯はみがいてはいけない』著者が警告
森 昭

スメハラ対策新習慣①食後はデンタルフロスのみ

口臭に対して最強に消臭効果があるのは、食事直後の“唾液”である。

ある調査によると6割近い方が、オフィスで食後に歯磨きをしているという。しかし、口臭予防の観点から考えると、実は食後に歯ブラシに歯磨剤をたっぷりつけて磨く歯磨きはNGだ。これは消臭効果が最も高い食後の唾液を捨ててしまうこととなり、かえってアブナイ。

 

口臭予防のために続けてきた習慣が、実は口臭を増強すると聞いて驚かれたかもしれない。といっても、歯に青ネギがついた状態で午後の商談に迎えと言っているわけではない。エチケットとして必要なケースはいたしかたない。あくまで、日常の習慣としての話だ。

おすすめなのが、「デンタルフロス」と「舌まわし」。

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歯の表面の食べかすは舌まわしで十分とれる。また舌をまわすことで唾液分泌が促進される。しかし、歯と歯の間の食べかすは舌まわしではとれない。そこでデンタルフロスが効果を発揮する。ニオイの一因ともなる、歯と歯のあいだの歯垢もごそっと取ってくれる。

「食べてすぐ歯磨きをしないと虫歯になるのではないか」

そんな不安を抱く方もいるだろう。しかし、この点は安心していただきたい。食べかすがそのまま虫歯になるのではなく、虫歯菌が食べかすを餌にして酸を代謝して虫歯になる。食べてすぐ虫歯になるわけではないのだから、むしろ食後は唾液を有効に使うことを考えたほうがよい。

スメハラ対策新習慣②噛みしめない

「かみしめ癖」が、口臭の大きな原因に関係していることはお伝えしたとおりだ。しかし、「歯を離しておいたほうがよい」ということがわかっていても、長年の習慣を改めることはなかなか難しい。

改善にはまず、自分が噛みしめていることそれ自体に気づくところから始まる。

ポイントは、「張り紙」。

たとえば、パソコンを使う頻度が多い場合、ディプレーの端に印のシールを貼っておく。そうして、そのシールを見るたびに上下の歯が接していないか意識するのだ。接していたら、意識して上下の歯を離す。これでOK。

じつに原始的な方法だが、癖を治すにはこの原始的な方法しかない。

運転するシーンが多い方はハンドルにシールを貼る。電車移動が多い場合はスマホに。そして、見るたびに歯を離す。同時に姿勢を正して、かみしめ癖が出にくくするということも大切だ。

念のためお伝えするが、口呼吸防止のため唇は閉じて、口の中の歯は離す、ということが基本になる。

スメハラ対策新習慣③お口ストレッチ

「かみしめ癖」のある人は、口を閉じる筋肉(咀嚼筋)が疲労して血行不良を起こしている。正座を長時間して足がしびれるような状態になっているのである。

まずは、その血行不良を改善するために、お口の中の筋肉をストレッチするという方法が有効である。お口の中のストレッチは専用の器具もあるが、慣れれば自分の指でできる。ストレッチする箇所は2ヵ所ある。

まず、上顎の親知らずの前の歯(第2大臼歯)の頬と歯肉の間に指を痛くなるギリギリのところまで入れて、マッサージする。もう1ヵ所は、噛む筋肉(咬筋)。下顎大臼歯の外側歯肉と頬っぺたの間をストレッチする。咀嚼筋の血行不良が改善されることで、口の中が広くなった感覚が得られるはずだ。

スメハラ対策新習慣④舌まわし変法

一般的に、舌まわし体操は、舌を時計回りもしくは反時計回りに、齦頬移行部(頬と歯肉の間の境界)あたりをグルグル回す。この舌まわしをインターネットで検索してもらうと、「ほうれい線が消える」「老け顔防止」などとして紹介されている。

リンパの流れ、皮筋の特性を活かし、さらに効果のある「舌まわし変法」は、舌先をグルグル回すのではなく、常に正中から始まり、近心(真ん中側)から舌が届く最遠心(エラ側)までいく。また正中に戻り遠心へと、静脈やリンパの流れを意識する。さらに、皮膚に手を添え、口の中の舌の圧を感じながら皮膚が伸びないように押さえる。唾液分泌が促進され、咀嚼筋や表情筋の血行不良が改善され、さらに舌のトレーニングにもなるという一石三鳥の方法である。

だれでもすぐ実行できる方法で、あなたもスメハラとは無縁になれる。騙されたと思ってぜひ試してみていただきたい。

森昭(もり・あきら)
昭和39年、京都府舞鶴市に生まれる。竹屋町森歯科クリニック院長、歯科医師臨床研修指導歯科医。平成7年、竹屋町森歯科クリニック開業。平成19年、MDE(メディカル&デンタルエステ)協会を設立、唾液分泌を促進させる癒しの予防歯科(デンタルエステ)を全国の歯科医師、歯科衛生士に啓発。唾液に注目した臨床歯科の第一人者として知られる。『歯はみがいてはいけない』(講談社+α新書)がベストセラーに。
歯はみがいてはいけない