口臭が原因で転落したエリートビジネスマンの悲劇

『歯はみがいてはいけない』著者が警告
森 昭

スメハラは自覚できない

「あそこのコンビニ。店主の口臭がきつくて」

「店主がいなくても店全体にニオイが染みついていて……」

ある歯科医院の昼休みの歯科衛生士同士の会話だ。

 

歯科衛生士は職業柄、口臭に関してかなりシビアだ。「P臭(ピー・シュウ)」という、歯周病由来のニオイに関しては、プロとしてのトレーニングを受けているので仕事上は問題なくやりすごすことができる。ところがプライベートになると、お客として行ったお店で一度でも店側由来の強いP臭を感じ取ると、以降その店には行かなくなる、という。

一般の方は、不快なニオイを感じても、その原因がP臭だとは気づかないこともあるだろう。しかし、「なんとなく不快」「なんとなく行きたくない」という感覚を持っても不思議ではない。そしておそらく、店側はそんなことで客足が遠のいているとは思ってもみないはずだ。

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業績にも関わりうるP臭だが、残念ながら当人に自覚はない。先のグリコの調査でも、実際に口臭が原因で相手に嫌がられた経験のある人は17%にとどまっているが、その一方で、女性の2人に1人以上は、口臭が原因でビジネス上の付き合いが変わった、と返答している。これは、女性の方がニオイに関して敏感であるためだ。

上記のお店の店主にかぎらず、企業でもP臭のキツイ男性は、女性上司や女性部下から「生理的にダメ」というレッテルを貼られ、“できる男”とは真逆の評価を下されてしまっている可能性が高いといって差し支えないだろう。

なぜ、当人にはP臭が自覚できないかというと、臭覚には “慣れる”という特殊能力があるからだ。“慣れる”は本来からだを守るために備わった能力だ。日常ではない異物を発見するために、日常のニオイを感じにくくしている。その体を守るための能力がゆえに、自分の口臭に気づかないのである。たとえそれがどんなに酷くとも。

あなたは大丈夫か 口臭自己チェック

ここまで読み進め、「ひょっとして……」と不安になった方は、以下のチェック項目のうち、いくつ該当するかためしてみてほしい。

□歯磨きの際、出血がある

□知覚過敏がある

□すり減った歯がある

□猫背姿勢である

□口内炎がよくできる

□頬や舌を噛むことがある

□頬にスジがついている

□舌の両サイドに歯の圧痕がついている

□起床時にアゴがだるい。頭痛がある。

□いびきをかく

いかがだろう。あなたのリスク度の目安は以下のとおりだ。

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0~1 スメハラリスク 小

2~4 スメハラリスク 中

5~  スメハラリスク 大

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さらにもう一つ試していただきたいことがある。

座った状態で背筋を伸ばし、力を入れず楽にして、唇を閉じてみてほしい。この時、上下の歯が少しでも触れていないだろうか。もしくは、上下の歯が触れていない状態よりも触れているほうが楽だと感じたりしないだろうか。「イエス」という方は、上記のチェックリストでリスクが小や中と出ても、実際には「リスク大」と考えたほうがよい。

上記の10項目はいずれも、口の中の唾液量に問題があるか、または、「かみしめ癖(*)」のある方がチェックする内容になっている。じつは、唾液の量や「かみしめ癖」の有無が、ひどい口臭の有無に大きく関わっているのだ。

*「かみしめ癖」 専門用語では、歯列接触癖(TCH:teeth contacting habit)と言われるが、ここではわかりやすいように「かみしめ癖」と表現する。