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口臭が原因で転落したエリートビジネスマンの悲劇

『歯はみがいてはいけない』著者が警告

自他ともに認めるエースが……

中堅生命保険会社に勤める田中さん(仮名)50歳。田中さんの会社は7人ほどのチームを組んで営業成績を競い合う。田中さんの営業成績は優秀で、30代のころには、社長賞を何度ももらい、自他ともに認める営業のエースだった。

田中さんのモットーは、「顧客のお困りごとを解決する」。生命保険の勧誘の仕事ではあるが、顧客の個人的な悩みにまで相談に乗り、昼夜を問わず尽力してきた。その結果、顧客が顧客を紹介してくれるという良いサイクルが出来上がり、常に社内トップクラスの契約率を維持してきたのである。

その成果もあり、同期入社の中では一番早くにチームリーダーに抜擢され、「出世頭」と揶揄された。しかし、嫉妬や羨望のまなざしなどどこ吹く風。チームリーダーになってからも、田中さんの勢いが止まることはなかった。

 

ところが、40代後半になると、その状況は一変した。部下の退職が続き、長年顧客を紹介してくれていた顧客にもどこかよそよそしい、敬遠されるような気配を感じるようなった。営業成績もいつしか「右肩下がり」に。社長賞などすっかり過去の栄光で、田中さんのチームに入ることを若手社員が露骨に敬遠するようになってしまった。

自分は変わらず努力しているつもりだし、周囲を見ても特段劣っているところはないと考えていた田中さんは原因が分からず思い悩んでいた。

そんなある日、同期入社組の慰労会があった。プライドの高い田中さんだったが、アルコールの力を借りて、同期社員に思い切ってその原因を聞いてみた。「言いにくいことだけど、おまえのことを思って……」と前置きをして、同期社員たちが真顔で語りだした内容に、田中さんは驚愕した。

・実は田中さんの口臭がすごいため、社内では「スメハラリーダー」とあだ名されている

・新人社員が退社した原因は、田中さんの口臭だと指摘する者までいる

・長年の顧客からも、「田中さんじゃない担当を……」と希望されるケースが増えている

「口臭? まさか、そんなことで……」

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大きなショックを受けた田中さん。同期たちに悟られないように、その場を何とか作り笑顔でごまかして、早々に立ち去るのが精一杯だった。

次の日、田中さんは入社して初めて無断欠勤をした。その後、田中さんは会社に営業からの異動願いを出し、現在は長期間会社を休んでいるという。

仕事ができる人・優秀だと思う人のニオイの第1位は「無臭」!

江崎グリコが20~50代の男女の就業者計824人を対象に、ビジネスシーンにおける口臭ケアについて調査を実施した。結果は以下の通り。

(江崎グリコ株式会社 プレスリリースより)

「仕事ができる人・優秀だと思う人」のニオイの第一印象は「無臭」。同調査では、女性の2人に1人以上が、口臭が原因でビジネス上の付き合いが変わったと回答。「仕入れ先との取引をなくした」「担当者が変わるまで面談を控えた」などという意見が上がっている。さらには、口臭が原因で「取引をやめた」「転職した」などという意見も。

「スメルハラスメント(スメハラ)」対策は、田中さんの例を持ち出すまでもなく、いまやビジネスにおいて必須の課題といえそうだ。