# 少子化 # 晩婚化 # 格差

子育てに最悪なのは「超有名企業に勤めるビジネスマン」かもしれない

子どもの愛着形成にとって一番大切なこと
杉山 登志郎 プロフィール

深夜残業する父親は……

「お給料も高いし、安定してそうなのに、どうしてですか?」

「彼らは、平均朝7時に家を出て、夜の11時とか12時に家に帰ってくる。彼らの多くは都市部に住む核家族だ。

しかし、0歳の育児は夫婦が協力しないとできないことがいろいろある。こうした父親が、育児を分担しようとすると、帰宅してからになるだろう。結果、赤ちゃんが寝るのが午前1時過ぎということが平気で起きてくるんだ。

赤ちゃんの立場からすれば、先ほどのDV家庭と同じ状態だよ。それに日中ずっと赤ちゃんと二人でほうっておかれる母親の孤独感は計り知れないだろう。産後うつになってしまうのも無理はない」

ミサキは絶句してしまった。

 

「まあ、今の日本は、経済活動にすべてのエネルギーが吸い取られていて、子育てという、次世代の労働力の再生産まで足を引っ張られているんだがね。その結果が少子化だ」

「でも、男性の育児休職も徐々に認められてきたじゃないですか?」

「制度としてはね。でも、実際取得するのはムチャクチャ大変だし、公務員と一握りの恵まれた企業以外は絵に描いた餅だ」

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「愛着」の形成期と保育園

「それどころか、認可外保育園の設置基準をゆるめて、保育の質を省みることなしにどんどん増やそうとしている。

職も不安定で給料も減っているから、共働きせざるをえない家庭も多いだろう。
父親も母親も0歳から子育てに向き合わない方向に進んでいるんだよ」
教授はたいそう憤慨しているようで顔が真っ赤になっていた。

「けれど、女性だけが育児や家事を押し付けられていた過去の日本のあり方は、どう考えてもおかしいと思います」

「もちろんさ。でもね、子育てよりも目先の経済を優先するという今の方向が良いとも思えない。僕自身は、愛着の形成期である3歳くらいまでは、子どもに振り回される大人の存在が欠かせないと思う」

「愛着の形成期……、要は子ども主体につきあう大人が必要ということですね」

なら、きちんと向き合う大人がいれば、血の繋がった親じゃなくてもいいのではないか。そう思ったので、ミサキは「保育園ではだめなのですか?」と聞いてみた。

「だめじゃないさ。けれど、ベストの保育をするにはいろいろとクリアしなければいけないことはあるよ」

「保育園が有害なわけではない、ということですね。では、あらためて何が一番大切なのでしょうか?」

ミサキは思い切って聞いてみた。

すると、教授は素直に語り出した。