# 晩婚化 # 少子化 # 格差

子育てに最悪なのは「超有名企業に勤めるビジネスマン」かもしれない

子どもの愛着形成にとって一番大切なこと
杉山 登志郎 プロフィール

高校生出産がベスト !?

「一般論として、ある年齢を超えると自然妊娠が難しくなって不妊症が起こるし、妊娠期の問題も起きやすくなるんだ。染色体異常による流産率や、出産トラブルの可能性も高くなる。いわゆる〝障害〟が子どもに出やすくなるんだな。

えっとね、高年齢で妊娠状態を作り出すことは、リスクを伴う。これは誰も否定できないだろう。

ヒトは生き物なのだから。

この基本中の基本、〝ヒトは生き物〟だということが、これまでの子育て本の中できちんと言及されてきたとは言い難いんだ」

「他の動物や植物と同じ、生き物のヒトとしてということですね?」

「多分、そうしたリスクを負わないようにするなら、生物学的にはヒトは高校生~20歳ぐらいで妊娠出産するのが最適だ」と杉本教授が言った。

「え!」

 

このオヤジは何を言い出すんだ。高校生で妊娠なんて非現実的すぎる。

「先生は、若ければいい、と本気でおっしゃっているんですか?」

「もちろん、そんなことはないさ。高校生や、はたまた中学生の妊娠出産は、社会的にも大変困難になりやすい。経済的な問題や離婚が起きやすいことは君も見聞きしているはずだ。

そもそも、若い女の子が性的体験をしてしまうこと自体、きちんと親から保護されていない状態が背景にある場合が多い。

つまり、親からのネグレクトがあると、若年の性交渉や、その結果としての妊娠出産が起こる確率が高まる。当然そのレベルはさまざまだが、安定した家庭を築けない状態では良い子育てなんか無理だろう」

結局、精神的にも社会的にも経済的にも安定しないと、子育てなんか無理じゃないか。でも、体のタイムリミットは追い込んでくる。ミサキはなんだかモヤモヤした気分になってしまった。

Photo by iStock

精子の劣化と男性のリスク

「ついでに付け加えると、妊娠出産では女性の年齢ばかりがこうやってクローズアップされるが、男性だってそうなんだ。

男性も50歳近くなるにつれて、精子が劣化してくる。

あとで述べる発達障害の一つ、自閉症スペクトラム障害の出生と関連を持つものは、出産のときの母親の年齢ではなくて、どうやら父親の年齢みたいなんだ。まあいろいろなデータが出ているがね。

結局は若いうちに産んじまうというのがまずは大事なのだと思う。そして、子育てに関しては、革新的なアイデアがあるんだ」

と杉本教授が大きな目をキラキラさせた。

「どんなアイデアですか? できるだけ若いうちに、バランスの良い食事をとったり、タバコのような害になるものを避けたりする、ということなんでしょうか」

「また君は」と教授はため息をついた。

「多少バランスの悪い食事をしていても、ドメスティック・バイオレンス(DV)が起こっている家庭で育つよりはましだろうね。

この前、相談を受けた親子なんか、夜中に酔った旦那が怒鳴り出すと、母親は寝ている赤ちゃんをわざわざ起こしていた。赤ちゃんを盾にすれば旦那が殴らないからと。
0歳児こそ睡眠を取らせる必要があるのに」

「そんな極端な話をされても……」

「極端なことなんかあるかい。皆わざわざ表に出さないだけで、そういう家庭はごまんとあるんだ。

革新的なアイデアというのは、親の働き方を変えるということだよ。

ちなみに、僕が最悪だと思っている父親のタイプは、超有名企業に勤めるホワイトカラーのビジネスマンだ」