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パナソニックと「きれいなおねえさんは、好きですか。」の26年秘史

巨艦パナソニックが美容家電にこだわる理由
山下 知志 プロフィール

「必欲品」とは、必需品に相対することばとして生まれた造語だ。

衣類や食品など、日々の生活の中で、どうしても欠かすことのできないものが必需品だが、日々の生活を送るうえで必要ではないけれど、欲しいと思う人には絶対に必要なものがある。それが必欲品だ。

 

一例をあげれば、ビジネスマンにとって必需品の腕時計である。同じ腕時計でもロレックスやオメガといったブランド品は必需品ではない。しかし、なにがなんでも欲しいと思う人がいる。そんな特定のユーザー層にとって、ロレックスやオメガは必欲品ということになる。

必欲品だからこそ、高価格設定ができる

必欲品は、メーカーにとって大きなメリットがある。価格を高く設定できることだ。

どうしてもそれが欲しければ、価格が高くても買ってくれる可能性がある。どうしても手に入れたいと思わせることに成功すれば、その商品は価格が高くても間違いなく売れる。

問題は、いかに欲しいと思わせるかだが、その1つをヘアドライヤーにみることができる。単に髪を乾かすだけのヘアドライヤーならば、2000~3000円も出せば買えるが、パナソニックのそれは、最新機種で2万円近い価格だ。

パナソニックの美容家電を支える技術の1つに「ナノイー」技術がある。この技術は、超微小な帯電水粒子を発生させることで保湿を実現するというもの。

2004年に商品化されたナノイー搭載のヘアドライヤーは、しっとり感を保った仕上がりが多くの女性に支持された。すでに累計で1000万台以上を販売し、ヒット商品になっている。このナノイー技術は、ストレーター(ヘアアイロン)やスチーマーなどの商品にも応用されている。

このほかにも、化粧水の浸透力を高める電気浸透流や、広い波長領域の光で毛根を弱らせてムダ毛ケアの痕を目立たなくするIPL(インテンス・パルス・ライト)の応用などがある。パナソニックは、美しさを支える技術も培ってきた。

しかし、それだけでは不十分だ。美容家電は、直接間接に髪や地肌に作用するものだ。そこには、安全であり、安心や信頼がなければならない。決して油断はできないが、誕生から100年企業のパナソニックにそれはありそうだ。

高い技術力と商品への応用力、そして安全安心という信頼性の裏打ちで、ユーザーの欲求を刺激することができれば、美容家電の限界普及率が24%と低くても目をつぶることができる。

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