ゲリラ豪雨をめぐる4つの疑問…「最近増えている」は本当か

意外と昔から言われていた
藤部 文昭 プロフィール

ゲリラ豪雨は増えているか?

ゲリラ豪雨が増えていると言われる。その原因とされるのは、地球温暖化と都市化である。実際はどうだろうか?

ゲリラかどうかはともかくとして、強い降水は世界の多くの地域で増えている。日本の強雨回数や大雨日数の長期変化は、気象庁のサイトで見ることができる(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html)。

強い降水の世界的な増加は、地球温暖化の結果であると考えて矛盾はない。なぜなら、気温が上がれば飽和水蒸気量が増えるからである。

飽和水蒸気量とは、大気中に最大限存在できる水蒸気の量である。これは、気温が1℃上がるごとに6~7%増える。それだけ、大気に多くの水蒸気が存在することができ、より強い降水をもたらすことができると考えられる。もっとも、気候変動のメカニズムは単純ではなく、上記はあくまでも大ざっぱな議論である。

都市のヒートアイランドも、強い雨を増加させると言われる。地球温暖化による変化と違い、使えるデータが少ない(大都市に限られる)ため、その検証は簡単ではないが、それでも、東京都心で短時間の降水が増えているとする研究結果が出ている。

 

一方、スーパーコンピュータを使った研究によると、都市の影響のしかたは事例によって違い、都市の存在によって降水量が大幅に増える場合もあれば、かえって減る場合もある。少数の事例から早まった結論を出さない注意が必要である。しかし、何ヵ月間もの計算結果を平均すると、東京やその周辺では都市があることによって降水量が1~2割増えるという[3]。

ヒートアイランドが降水を増加させるメカニズムは、地球温暖化の場合とは違う。都市は植物が少なく、地表面がコンクリートやアスファルトで覆われているため、蒸発が抑制され、水蒸気量は少ない。しかし、ヒートアイランドによって上昇気流が生じ、これによって都市の上空へ水蒸気が汲み上げられて、雲が発達しやすくなると考えられる。また、高層建築物が障壁になって上昇気流を作り出し、雲ができるきっかけを作るという見方もある[4]。

以上のように、強い雨が増えつつあることは事実だと考えられるが、その一方、「ゲリラ豪雨の激増」というイメージが先行しているという一面もありそうに思える。

近年は天気予報の精度が上がり、雨の予報は以前よりも当たるようになってきた。そういう中で、突然ザーッと降ってくる予期しない雨に遭うと、強い印象が残るのではないだろうか。このあたりは、データに基づいて変化の実態をきちんと押さえていくことが必要であろう。

〈参考文献〉

[1]牛山素行、2011: 「ゲリラ豪雨」と災害の関係について. 土木学会論文集B1 (水工学)、67、I_505-I_510.

[2]中北英一, 山口弘誠, 山邊洋之, 2009: レーダー情報を用いたゲリラ豪雨の卵の解析. 京都大学防災研究所年報,52B,547-562.

[3]Kusaka, H. et al., 2014: Mechanism of precipitation increase with urbanization in Tokyo as revealed by ensemble climate simulations. J. Appl. Meteorol. Climatol., 53, 824-839.

[4] 高橋日出男,中村康子,鈴木博人, 2011: 東京都区部における強雨頻度分布と建築物高度の空間構造との関係. 地学雑誌,120, 359-381.