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ゲリラ豪雨をめぐる4つの疑問…「最近増えている」は本当か

意外と昔から言われていた

近年、急増しているように感じられる「ゲリラ豪雨」。なぜ起きるのか? 本当に増えているのか? 気象統計学の第一人者が、ことばの起源から発生のメカニズムまで、最新の知見を紹介する。

いつ生まれた言葉なのか?

「ゲリラ豪雨」が流行語大賞の候補になったのは2008年である。この年は、7月28日に神戸の都賀川で鉄砲水が起き、子どもを含む5人が亡くなった。その1週間後の8月5日には、東京豊島区の雑司ヶ谷でマンホールの出水事故が起き、作業員5人が亡くなった。どちらも短時間の強雨がもたらしたものであった。この年以降、「ゲリラ豪雨」という言葉が新聞などでよく使われるようになった[1]。

ゲリラ豪雨という言葉が初めて使われたのは意外と古く、1969年8月の大雨のときだったとされる。このときは、数日間にわたって本州に前線がかかり、北陸~信越地方を中心として今日はA県、次の日はB県というように、日々所を変えて豪雨が起きた。

低気圧や台風が通るときは、その移動に合わせて雨が降る場所も順番に移っていくのが普通だが、前線が停滞しているときは、大気状態のわずかな変化に応じて雨の降る地域がさまざまに変わることがある。当時用いられた「ゲリラ」という言葉は、この変幻する様子を表したものであり、雨の突発性を強調する最近の用法とはニュアンスが違う。それがいつのころからか、「突然の強雨」という意味合いで使われるようになった。

また、「ゲリラ雪」という言葉もある。これは、関ヶ原付近に降るにわか雪を指す言葉として道路関係者が言い出したもので、かなり前からあったらしい。

この地域は日本海と太平洋を隔てる山地が途切れていて、寒波が来るとよく雪が降る。この雪はしばしば非常に局地的であり、晴れた状態から一転して吹雪になって交通障害を引き起こし、事故に結びつくこともあるという。「ゲリラ雪」はこのような急激で局地的な雪を表すものであり、現象の局地性と突発性の点で今のゲリラ豪雨と語感が似ている。

 

なぜゲリラ豪雨は起きるのか?

ゲリラ豪雨を引き起こすのは積乱雲である。

一般に、雲は湿った空気が上昇して冷え、水蒸気が凝結してできるものであり、大きく「層状性の雲」と「対流性の雲」に分けられる。層状性の雲は、低気圧や前線による広い範囲の上昇気流が作るもので、連続的な降水を降らせる。対流性の雲は、不安定な大気の中で上空へもくもくと発達し、狭い範囲に集中的な降水をもたらす。積乱雲は発達した対流性の雲である。

積乱雲はしばしば集団で発生し、互いに影響しあって多彩な様相を見せる(積乱雲の組織化と言う)。去年の九州北部豪雨で名が知られるようになった線状降水帯は、積乱雲が列をなすものであり、集中豪雨の要因の1つになる。これに対してゲリラ豪雨は、その語感からすれば、単独あるいは少数の孤立した積乱雲が降らせる雨を指すものと思える。