堀江貴文イノベーション大学校から学び取る「新時代の働き方」

脱サラリーマン思考を身に着けよ
三戸 政和 プロフィール

堀江貴文イノベーション大学校(HIU)とは

「大学校」といっても、HIUは文部科学省が認定した大学ではなく、キャンパスもない、バーチャルとリアルを掛け合わせたコミュニケーションのグループです。会費は月額1万800円。サイトの概要ページには、

<堀江貴文による会員制コミュニケーションサロンです。メインのFacebookグループに加え、約30個の分科会グループで構成され、その中でメンバーは自身のやりたい事をカタチにしていきます。ビジネスも遊びも、とにかく全力で望むやる気のある人たちが集い、交流し、新しい価値を生み出していく場です>

と書かれています。

分科会には、教育事業グループ、事業投資グループ、エンタメグループ、デザイン・写真系グループ、国内外観光系グループ、宇宙開発グループなどがあり、それぞれにFacebookの「秘密のグループ」があります。

メンバーはそこに、いろんな企画を投稿します。イベントの企画だったり、新規事業の企画だったり、旅行の企画だったり……。それを面白がったメンバーが互いに意見を出し合い、企画をブラッシュアップしていきます。

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堀江さんはすべてのグループの投稿に目を通していて、面白いと思えばそのコミュニケーションに堀江さんも参加します。そこでは企画の発案者がプロジェクトリーダーになり、有志が集って、次々に面白いイベント・企画が実行されていくのです。

たとえば、堀江さんはトライアスロンをするのですが、それを見てHIUのみなさんが新しくトライアスロンのチームを作りました。HIUのトライアスロンチームは、いまや堀江さんのオリジナルチームより参加人数が多い集団になっています。

ついこの前まで泳ぐこともままならなかった女性が、アイアンマンレース(スイム3.8km、バイク180km、ラン42km)を完走したりもしていて、見ている我々も驚いてしまいます。このように、HIUは参加メンバーが面白いと思ったことをすぐに行動に移し、目標を立てて、それをクリアするための「仲間づくりのプラットフォーム」として機能しているのです。

またHIU以外にも、堀江さんが関わっている「食の学校」というオンラインサロンがあります。「ニッポンの和牛を世界へ」をコンセプトに、堀江さんと和牛ディーラー・浜田寿人さんで結成されたユニット「WAGYUMAFIA」の、食に関するサロンです。日本が誇る神戸ビーフや尾崎牛などを80日以上かけて長期熟成し、最高の状態に仕上げたうえで、メンバーたちで“究極の和牛”の食べ方や提供のあり方を追究しています。

これもまた「ひらめき」から始まったサロンですが、こうした様々なイベントは、言い出しっぺのプロジェクトリーダーが、自分の好きな遊び、突き詰めた趣味の世界を、他のメンバーに教えるような形で実施されていきます。

各部会と、その中にあるたくさんのプロジェクトには、それぞれにトップレベルの技術やネットワークを持った先生がいる。鳥のさばき方を教えてくれる人や、日本酒造りを教えてくれる先生もいて、普通にサラリーマンをしていては経験できないことがたくさんできる……HIUや食の学校はそんな空間になっています。

 

遊びのための集団ではない

この組織を「ただの遊びのための集団」とみる人もいるかもしれません。しかし、それは本質を見誤っています。先ほども申し上げたように、私はここに「脱サラリーマン思考」のヒントがあると思っています。

HIUに参加しているメンバーは、それぞれがみな何かしらの「特技」や「才能」「アイデア」を持っています。それは、その人が本業で身に着けたものかもしれませんし、趣味で身に着けたものかもしれない。

その人たちが自発的に「次はHIUのなかでこういう取り組みをやってはどうか」と呼びかけ、その人を中心にひとつの組織が出来上がっていく。

あるいは、別の人が「こういうことをやりたい」と提案した時に、メンバーが「だったら俺はこんなことができるから手伝うよ」といって、そのプロジェクトに参画する。

たとえば、私が出版した『サラ3』を読んでくれたHIUメンバーから「勉強会を開いてくれないか」と私宛にダイレクトメールが届きました。

あとから聞いてみると、HIUのFacebookにある事業投資グループのタイムラインに、そのメンバーが「この本が面白いので、HIUのみんなで何か共有できないですかね?」と書き込んだところ、そのメッセージを見た堀江さんが「じゃあ、三戸ちゃんを呼んで勉強会をしてもらったら?」とコメントが入り、私宛にDMを送ってこられたようです。

その後もFB内で、勉強会の開催場所を決める人が登場したり、集客の方法を考える人が登場したり……という形で勉強会の開催が決まっていきました。今後、勉強会はストリーミングを通じてHIUの皆さんにも見てもらうので、「会社を買おう!」をテーマにした分科会が立ち上がっていくような気がします。

そうやってHIUの中には、「楽しみ」を軸に集まる新たな組織がいくつも誕生していくのです。

現在のところ、HIUではアイデアを出した人や技能を活かした人が「報酬」をもらっているわけではありません。お金のためではなく、皆、楽しみのために参加し、知恵と技術を出し合っています。

それぞれ別々のバックグラウンドを持つ人たちが、「楽しみ」のために集い、新しい「イベント」を提案し、「ホリエモンの力」を借りてそれを実現していく――。

さて、勘のいい方はお気づきだと思いますが、この、楽しみを「仕事」に、イベントを「プロジェクト」に、そしてホリエモンの力を「大企業(資本家)」に置き換えれば、まさに「新しい時代の働き方」そのものになるのです。これが、私が「HIUは新しい働き方のモデルを示している」と唱える理由です。